第6話
流れてきたゴミをせきとめるためか、あるいは私のような探検隊気取りの子どもを侵入させないためか、そこには鉄柵があった。暗がりの向こうから、かに山の湧水が野川に注ぎ込んでいる。
フクさんは大きく息を吸い込んで目を閉じる。
見る見るうちに白髪が伸びてきて、身体を覆ってしまう。白髪は互いに格子状に編み込まれていき、やがて強固な鱗を作り上げる。私の目の前には、月光に輝く白い大蛇がとぐろを巻いていた。
「つかまって」
と白蛇が言うので、私は首の周りに抱きつくような形でつかまる。
鉄柵は彼を避けるようにして捻じ曲がる。私たちは凄まじい勢いで水路を遡っていく。水は氷のように冷たいはずだが、不思議と気にならなかった。
「大きく息を吸って」
彼の声に従う。次の瞬間、外界の音が消える。地下水脈に侵入したのだ。息のできない暗闇の中を、彼は一心不乱に進んでいく。私は振り落とされないようにしがみつく。
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