第2話

 私は夏休みの間中、野川に通い続けた。


 フクちゃんはいつもそこにいた。


 フクちゃんの話はつかみどころがなくて、同じ日本語で話しているハズなのに、なかなか嚙み合わない。


「ネットで調べたところ、子が十一月、丑が十二月というふうに数えるから、寅は一月ということが分かった。そして来年一月の寅の日は十七日。寅の刻っていうと日の出前のことでしょう。まとめると、来年の一月十七日の日の出前がタイムリミットということになる」

「なるほど、そうだったのか」

「あなたが自分で言ったんじゃない。で、それまでにガンザヤトとかいう場所が見つからなかったら、どうなるの?」

「どうなるかはわからないけれど、そうなってしまうと、とても悲しいということだけはわかっている」

「なんじゃそりゃ」


 と、まぁこんな感じ。


 何か大事なことを隠しているというより、本当に彼自身が知らないようだった。あるいは、知らされていないのか。


 ともあれフクちゃんが悲しいと、私も悲しくなる気がした。だから私は隊長として、彼の望みをかなえたいと思うのだ

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