第17話 ネズミの町のイカれた法律
「見えてきましたぞ!でっけぇー!人が住んで良い大きさじゃないですぞ!」
住んで良いんだよ、なんて事言うんだよ。
現在町を見渡せる丘の上にいるのだがかなりの高さから見ているのに全体が見えない、
無計画に町を広げたのか歪(いびつ)な形でどこまでも広がっている。
しかし本当に大きな町だ、下手したら数十万人いるんじゃないか?こんな規模の町は初めてだ。
町の入り口辿り着くと、観光か?と聞かれ、観光ですというと2人で2万ベルらしい。
金取られるのか…まあ全然良いけど
「あれ絶対お小遣い稼ぎですぞ。」
「まあそうだろうな、でも下手にゴネるほど金に困ってないし」
「まあそうですな、多めに見てやりましょうぞ、トーマが似合わない服を買ったと思って」
ニュアンスで馬鹿にすんのやめてくんない?
しかしこの国、思ったよりも人口が少ないな。田舎町に毛が生えた程度。
これならこんなに馬鹿でかい町じゃ無くても良くない?
「おい君、お腹が空いたですぞ、聞いてるのか君」
「なんだよ鬱陶しいなそれ、確かに腹も減ったしとりあえずあの店に行くか。」
僕たちは近くに見える牛の看板のレストランに入った。
「いらっしゃーい、二人だね、生憎席が空いてないんだ!相席でも良いなら入ってくれ!」
「相席でも良いけど僕達のご飯を先に持ってきてくれる事を約束してほしいですぞ。」
「相席でいいです、あとコイツは水でいいです。いや、水もいいです。」
常連らしい女の子に店主が話かけ、その席にお邪魔する事になった。
灰色の髪の毛に丸い耳、黒い瞳のネズミ族、尻尾にリボンが付いていて可愛らしい女の子だ。
「お邪魔しますぞー、何食べてるんですぞ?僕たち今日ここに来た旅人ですぞ、オススメは?なんでこんな大きいの?この街。」
初対面の人の処理能力試そうとすんな、困ってるだろ
「ごめんね、コイツはアレだからさ。オススメのメニューはある?」
「急に早口で話されてビックリしちゃった!オススメはチーズのピザだよ!この店に来たならピザを食べないと始まらないよ。」
「じゃあそれにしよう、ポメヤもそれでいいな?」
「チーズですぞ!甘美な響きの憎いやつ」
店主にチーズピザを注文し、待ってる間に少し町の事を聞いた。
「この町なんだけど、大きさの割りには人口が少ないような気がするんだけど、みんなどこかに行ってるの?」
「んーどこから説明しようかなぁ、ネズミ族って性欲強いんだよね」
本当にどこから説明する気?急に何言い出すの。
「そして私たちって子供が一回で最低でも5人産まれるし、一ヶ月もしたら成人になるから人口が爆発するんだよね。」
「そういう話か、それでどんどん住居建てるために町を大きくしたワケだね。」
「でもそのペースだと数年でとんでもない数になりますぞ。」
「そうなの、そして町長が人口爆発を止めようと法律をどんどん作ったワケ。」
話の途中でピザが到着した。一旦中断しピザを貪る。
これは美味い…ポメヤも気に入ったようで一心不乱に食べていた。
「これは背徳の味ですぞ!背いても構わん!突き進め!」
そうだな、別に帰ってこなくても良いぞ…
「私今日仕事ないから色々教えてあげる、デザートまで奢ってくれたらね。」
しっかりしてるなぁ、まあ良いけど。
ピザ屋を後にし、喫茶店でお茶をしながら話の続きを聞いた。少女とポメヤはパフェ、僕はコーヒーを注文した。
「どこまで話したかな、法律の話だったね、まず、子供は1人までっていう法律ね。」
「ん?でも5人以上産まれるんでしょ?無理じゃないか?」
「まあそういう事ですぞ、間引きってやつ。」
「そう、悲しいけど1番元気な子供以外は処分されちゃうの…でも大勢育てるのも大変だし…それが嫌なら子供作るなって法律。」
「うーん、まあ仕方ないとも言えないけどしょうがない感は確かにあるな…」
「でも成長が早いから結局人口は増えたの、そして次は人口が減少するまで異性との性行為禁止の法律」
「それはまた強行手段だなぁ、無理だろそんなの」
「それがどうにかなったのよ、男性同士、女性同士でも性欲の発散はできたから。町の奥の方は男性同士のエリアと女性同士のエリアがあるから行ってみると良いわ」
「そんな場所もあるのか、覗いてみようかな」
「他には可愛い子の絵とか漫画のキャラクターに恋をする人もいたわ、まあ前から一定数はいたけど。
その人達用のエリアもあるわよ。」
「確かに町は広いからエリア別で分ければ何も問題ないな。」
「ちなみに異性と関係を持ったらどうなるんだ?」
「町の奥のスラム街に隔離されるわね、高い塀で囲まれてて食料も無いわ、もう処刑みたいなものね。」
恐怖政治か、でも人口が増えすぎて食料が足りなくなったり争いが起きたらもっと大勢死ぬもんな…。難しい問題だ。
「エリア別になってるって事はここも何かのエリアなのか?」
「そうよ、ここは最後にできた法律
結婚する場合、男女にのどちらかが去勢する事。」
「私ね!赤ちゃん産めないんだ!」
は?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます