第15話 ギャンブルの町で大儲け

「あーネズミの町でチーズ食べたいですぞーお腹がもう、大変だ」

また文句を言っているじゃん…


「オヤツ買ったろ、それ食えよ」


「舌触りがねー、独特ですぞこのクッキー」


最近贅沢になっている小さな魔物、それもお金に余裕がある、というかありすぎるからだ。



数ヶ月前の町での話


「お金稼がないと死にますぞ?ヤバいんじゃないの?」


「ヤバいんだよ、そもそもお金稼ぐ為のお金が無いんだから」


僕達は最初こそ転売まがいの行商で日銭を稼いでいたのだが…

ポメヤのコレは売れる!に騙されて大損したのだ。


あと1週間も保たないぞ…


「近くにギャンブルが盛んな国がありますぞ!そこで1発当てよう!先っぽだけでも良いですぞ!」


ギャンブルか…どっちにせよ破滅は近いし行ってみるか…もう先っぽだけでもいいよ…


悪魔族が運営するギャンブルの町、多種多様な種族が集まっており、金さえあれば一生遊べるという。


「意外に近かったな」


数時間で到着し、門をくぐる。


「金ピカですぞー!もう満足ですぞ!」


何を得たんだ?お前は今ここで


門をくぐった先には様々な電飾で彩られ、高層の建物が乱立、下品な金の装飾がそこかしこに施され、夜だというのに目が眩むほど眩しい、全てがギャンブルに左右される町、

【ゴールドラッシュ】


「町の名前は絶妙にダサいですぞ」


「まあな、シンプルイズベストってヤツだろ」

僕達に出来そうなギャンブルは…


犬の魔物のレースを当てる競犬


ルーレットに入る数字や色を当てるヤツ


コロシアムで行われる魔獣同士の勝負でどっちが勝つかかけるヤツ


あとは6桁の数字を選んで抽選するクジくらいかな。

「今いくらあるんですぞ?あとギャンブルの知識絶妙だけど大丈夫?君」


「一万ベルくらいだ、君?とか言うな腹立つ」


「じゃあまずルーレット行くですぞ!なーに簡単、赤か黒にかけて負けたら次は負けた額の2倍をかけて勝つまでやれば余裕ですぞ!」


「それ確か勝てないぞ?まあ行ってみるか」


この掛け方は転移前の世界でマーチンゲール法と言う、負けにくいだけで勝ち額も少ない。

資金があれば永遠に倍で賭ければ良いが、今回は資金も少ない。

ちなみに大金を持っていたとしてもテーブルリミット(賭け額の上限)に引っ掛かれば大損する事になる。


今の僕達には関係ない話だが、お金ないしね。

「ウオー!黒ーお前は黒ぉー!」


運良く小銭を増やしたが二千ベルほど増やしたところで追い出された。


「卑怯なり!不公平ですぞ!」


「そりゃそうだろ…客というかうるさい乞食みたいなもんなんだから…」


「次ですぞ!」


競犬


これはオッズは安いが6頭の内上位人気3匹を単勝(1番を当てる)に賭けて、少しだけ勝てるくらいに掛け金を調整して買った。


「うおおー犬ーそこですぞー!噛めー必勝の一撃をぉー!」


だめだ、少し勝って負けての繰り返し、大番狂せが多すぎてオッズが参考にならない。


また小銭を稼ぎ残金一万五千ベル


「なんだかんだ五千ベル増えましたな、この調子でいきますぞ」


「いや、厳しい、追い出される前に大きく当てるぞ、俺達みたいな乞食は運営からしたらゴミみたいなもんだからな」


「お前一応魔物だしコロシアムの魔物でどっちが勝てそうか分かるんじゃないの?」


「あー微妙に雰囲気なら分かりそうですぞ」


「今はその雰囲気にも頼っていこう、仕方ないから…」


コロシアムでは魔獣同士が戦っている、一応死ぬまでは戦わないらしく、戦意喪失したら負けらしい。


次は牛の魔物と猿の魔物だ。

オッズは牛が優勢、猿なら50倍だ。


「牛ですな、猿では勝てないですぞ、なんかもう逃げたがってるし」


牛は2倍か…オールインで行こう、全賭けだ。

「うおおお牛いいぃー戦えーそこだぁ今ですぞぉーー」


普通に勝ったな…もう三万ベルだ。

その後もポメヤの雰囲気とやらで連勝し、残金300万ベル


「なんかもうここで一生分稼ごうぜ」


「なんか働くのが馬鹿馬鹿しいですな」


僕たちは高級レストランで食事をしていた。

ウェイトレスの狐族はせかせかと働いている。


そしてデザートが配膳されたところでウェイトレスは盛大に転び…僕は顔にドリンクを浴び、ポメヤの頭にはプリンが乗っかったのだ…。


「ももも…申し訳御座いません!只今拭くものを!」

ウェイトレスは慌てて自分のスカートでポメヤを拭き始めた。

ポメヤはスカートの中に顔を突っ込んでいる形だ。


「気にしなくていいよ、なんか疲れてるけど大丈夫?」

僕は顔をシャツで拭くと声をかけた。

あのままスカートで拭かれても良かったが流石に罪悪感が凄い。


「借金を返すまで休まず働きます…私は借金奴隷ですので…」

急に身の上話か…相当追い込まれてるのか、騙して金を貰う気なのか…


「トーマ、たまには素直に考えるのも良いですぞ」

確かにな、たまにはいいか…何も考えなくても。


「ちなみに借金っていくら?」


「200万ベルです…最初は500万ベルでしたが7年でここまでなんとか…」

少し考えてるポメヤ、激レアだ。


「これで払ってきていいですぞ、一緒にデザート食べてくれるなら」

ポメヤは2つの札束をポンっと机に出した。

まあお前が増やした金だ…好きにしろ


「ダメです!頂けません!そんな大金!」


60分にも及ぶ押し問答の末、狐の女の子は同じ席に座ってプリンを食べていた。

支配人に借金を完済し晴れて自由の身だ。


名前はフランといい、キツネの耳が生えているオレンジの瞳の女の子だ。

父親が事業で失敗して売られてしまったらしい、流石に同情するけど200万は痛いなぁ…まあ泡銭だけど。


「ポメヤ、頑張って稼ぐぞ、フランちゃんも一緒に行こう、その前に服屋で新しい服を買おうか…びしょ濡れだ」


「申し訳ございませんーー!!!」


服屋で全員分の新しい服を買った。

僕たちは普通の普段着、別に高級な服なんかこの町を出たら場違いだしね。


フランちゃんには白のドレス風のワンピースだ、靴と合わせて4万ベル!今日の僕たちは強気だからね。

「こんな可愛いお洋服と靴まで…夢みたいです…」


フランちゃんは気に入ったようだ。

さて、コロシアムに向かおう。


数時間後


残金は三千万ベルまで膨れ上がっていた。


「ポメヤお前…たまにやるな…」


「カッカッカ!今日はそこそこのホテルで寝ますぞ!」

ホテルを三部屋取ってベッドに横になる。


今日はベッドが大きいしそれぞれ個室だ…明日中には一生分稼いで町を出るぞ…ここは人をダメにする…

寝ようとするとドアをノックされた、


ドアを開けるとバスローブ姿のフランちゃんが立っていた…

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