第4話 陰キャな僕、陽キャなギャル。告白について考える
映画を見に行った、翌日。今週は掃除の担当が無いこともあり、放課後僕は日向寺さんを探していた。校舎内で見つけられなかったので、体育館周りを探していると、誰かが日向寺さんに告白している現場に出くわす。
「なあ、美咲。俺と付き合わないか?」
「ねえ。あんたからの告白って何度目だっけ?」
「三度目。俺は本気なんだ。じゃなきゃ三度も告白しない。美咲のこと大切にするから俺と付き合って」
「そこまで言うなら――」
カランカラン
僕は前のめりで見ていたせいか、空き缶を蹴ってしまい音を鳴らしてしまった。
『にゃー、にゃー、にゃー』
猫のモノマネをし誤魔化す。
「そこまで言うなら、もう少し考えてみる。返事は後でいい?」
「もちろん。良い返事を待ってるよ」
告白を終えた、クラスの陽キャグループの男がこちらにやってくる。僕は見つからないように身を隠した。
「よしバレなかった」
「何がバレなかったって?」
「うわっ!」
後ろを振り向くと日向寺さんがいた。
「ごめん」
「ごめんって何が?」
「告白の現場、勝手に見ちゃって」
「ああ、そんなことね。それよりも今泉ありがとうね」
「ありがとう?」
「流れでOK出しちゃうところだったよ。猫さんに感謝感謝」
(ああ、猫のモノマネが下手で誤魔化せないよな)
「いまーいずみ君」
「はい、隊長」
「作戦会議をするぞ。まずは現状報告」
「はい、こちら今泉家では父親が満足そうな顔をして帰ってきました。その後、スマホで誰かと連絡を取っているようで、ニヤニヤしていました」
「よろし。では、あたいからも報告。昨日おかんは化粧品をたくさん買ってきた。きっとお目当ての男を落とすためであろう。その後、夜遅くまで誰かと連絡を取り合っていた模様」
「了解しました」
「あっ、追加報告。おかんは勝負下着も買ってきた模様」
「わかりました。それで隊長、今後どのようにいたしますか?」
「あと一押しが必要だと思う。その一押しをこの会議で考えよう」
どうやら双方の親、お互いのことを想っているようだ。僕は日向寺隊長に話す。
「隊長。僕の父親が告白できるような場面を作りたいと考えているのですが、何かいいアイディアはありますか?」
「告白の場面か――。ロマンチックな雰囲気があるところが良いと思うぞ。こんな体育館の周辺なんてベタ過ぎる」
「そうでありますか隊長」
「うむ、いかにも」
「それなら夜景が見える場所へドライブデートなどはどうでしょうか?」
「今泉隊員、その策は良いアイディアだ。早速準備しよう」
「了解しました」
◆
「父さん」
「何だ?」
「あのね。美味しいって評判のラーメン屋さんに行きたいから、今度の土曜、車出してくれないかな?」
「はぁ、ラーメンか。そんなのスーパーで買って自分で調理すればいいだろ」
「日向寺さん達が美味しいって言ってたから、一緒に行こうかなって思ってたんだけど」
「譲。車出してやる。その代わり車内の掃除はお前がやれ」
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