第8話 デート前日 side凛


〜約束の前日の金曜日〜


桃とデートの旅約束をしてからの数日間、気を抜くとすぐにその事を考えてしまい、表情が緩んでしまう。


(流石にちょっと気持ち悪いよな…でもここがチャンスなんだし仕方ないよね。うん、そうだよね。だから普通普通。)


などと現実逃避をしている間に授業は過ぎ去り、部活をして帰るのみとなっていた。


「桃〜、今日も一緒に帰らない?」


「あ、あ〜、うん、いいよ。」


「ん?どしたの?何か用事あるなら無理しなくて大丈夫だよ?」


「い、いや、そう言う訳じゃなくて、毎回なんな事されると身がもたないと言いますか…」


「あんな事?…ああ!この前私が耳元で囁いて桃がダウンしてたこと?別に昨日も一昨日も一緒に帰ってたけどそんなの気にしてなかったよね?急にどうしたの?」


「いや…あの時も珍しく凛から誘ってきた時だったから…今日も、その、そうかなって」


「っっ!可愛い!そんなこと言うってことは案外満更でもないんじゃない?」


「ほらまた心の声我慢できてない…って!ほんとに心臓に悪いんだからやめてよ!?」


「あはは、その時の桃によるかな〜」


「も〜…てゆうか時間大丈夫?いつもならもうとっくに…」


「あ!本当だ!ごめん、また後で!」


「あっうん。その、無理せず頑張って。遅くてもいつまでも待つから。」


「ありがと!その一言で頑張れる!じゃあ行ってくるね!」


「はーい」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「あっぶない!ギリギリセーフ!」


「あ、凛やっと来た。遅れるんじゃないかと思ってウキウキしてたのに」


「そんなことでウキウキするな!って、そんなことはどうでもよくて、明日だよ明日!楽しみだなぁ!」


「また始まったよ凛の惚気大会」


香瑠にバレてから普通に相談とかに乗ってもらうことが結構あって、今回のデートの事も毎日のように言ってるからそろそろウザがってる。それでも私は惚気るのをやめない。 


「じゃあ心優しい香瑠さんからのアドバイス、凛、明日は盛大に心の声を漏らせ!まぁいつも垂れ流しだけど」


「垂れ流しとは失礼な。私は事実を言っているだけなんだぞ。まぁでも了解。明日は絶好のアタックチャンスだしね。さて、今日も部活頑張りますか!」


「ほどほどに頼むよ。姫乃ちゃんが絡んだ時の凛の全力、いつていくだけでしんどいから。」


「うっ…善処します…」


結局そんな言葉も虚しく1on1でボコボコにされました。ほんと、姫乃ちゃん絡むと元気になりすぎ… by香瑠


「ふー!今日も終わった!じゃ、桃待たせてるからお先に!」


「お疲れ〜って相変わらず速い…てかやっぱりさっき凛気づいてなかったな」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「凛!お疲れ様!今日は一段と張り切ってたねぇ」


「お待たせ。え、何?もしかして見てた?!」


「うん。今日は早く終わったからね。たまにある楽しみの一つだから!」


(ええ…はっず。結構ムキになってやってたし…よし、こうなったら)


「……」


「どうしたの凛?って!怖いから無言でこっち近づいてこないで!?」


「大丈夫、怖くないから。」

そして耳元で

「じゃあ、帰りましょうか、お嬢様」


「ひうっっ///!」


「おっと危ない。ほら、肩貸してあげるからゆっくり帰ろ。」


「やっぱり凛から誘ってくる時は注意しなきゃ…」


「あはは、明日が楽しみだね!」


「なんの脈略もないけど…まぁ、うん。それはそう。私も…楽しみ…」


そうして2人は帰った後各々悩みながら明日の準備をするのだった。





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