第2話 side桃前編

私が凛と知り合ったのは中学1年の文化祭の日


「姫乃さん!ずっと好きでした!付き合ってください!」


文化祭の日に告白すると恋が実るとか言うありがちな話が定着していたからか

今日何度目かわ からない告白を受けていた私はまあまた軽くあしらえばいいと思っていた。 でもこのときは違った。


「ん〜気持ちは嬉しいけど、ごめんなさい」


「は?え、なんで?ありえなくない?」


「え、だから付き合えないって言ってんの」


「冗談だろ?なあ!そうなんだろ!?」


「ひっ」


腕を掴まれ叫ぶように言われた言葉に怖気付いてしまい動けないでいた。

告ってきたこいつが学年でもかなりのイケメンと言われていた奴だったために プライドが許さなかったとかそんなところだったんだろう。


「ち、ちょっと、離して!」


「暴れんなって!俺と付き合ったらいい思いさせてやるから 大人しく俺にしとけって!」


(誰か・・・助けて・・・)


力では敵うわけもなく半ば絶望していた私を助けてくれたのは 幼馴染でもイケメン生徒会長でもなく、いや、イケメンではあるんだけど 紛れもなく今の大親友、そして私が恋をしている凛だった


「おい、ちょっと、 この子嫌がってるだろ。」


「はあ?誰だよお前!引っ込んでろ!てか手え離せ!」


「人に言う前に君が離すべきなんじゃないのかい? はい離した、これでいいんっだろっ!」


「あっ!」


(やばい、私のせいで、この人殴られるっ)

そう思ってももう遅かったが、聞こえてきた言葉は私の予想に反して

「痛ったいな〜でもこれで正当防衛だよねっ!」


「調子乗ってんじゃねえぞっ!」


「どこ狙ってるの?当たらないよ〜」


「っち うるせえ!」


「ホントは諦めてほしかったんだけどっ」

ドンッ

鈍い音がして男のほうがお腹をおさえてうずくまっていた


「うぐ・・・痛ってえ」


「まだ続ける?いくらでも相手してやるけど」


「くっそ、覚えてろ!」


今どき三下でも言わないような捨てぜりふを吐いて逃げていき 私と凛だけが残された。


「大丈夫?けがとかしてない?」


「だ、大丈夫です!それよりもあなた!顔大丈夫?」


「うーんまあちょっと痛いけど大丈夫。それより君が無事で良かった。」


「っ///」

(は?イケメンすぎでしょ?え、これで惚れないとか無理があるって)

私はこの瞬間凛に恋をした。 いや、これで恋に落ちないとかありえなくない?何を食べてどう育ったらそんなセリフが言える の?あとやめてっ!手を握って確認しないで!恥ずか死んじゃう!


「顔赤いけどほんとに大丈夫?!やっぱり保健室に・・・その後あいつを探し出して・・・」


「だ、ダイジョウブ、大丈夫だから!怖い顔ヤメて」


そう言うと怖い顔はやめて笑顔になったけど・・・だめだ、かっこよすぎて直視できない


「そう?なら良かった。それじゃあ君も無事みたいだし、じゃあねっ」


そう言って去ろうとしているから思わず呼び止めてしまった。


「ま、待って!」







ここまで読んでいただきありがとうございます! 今回は書いているうちに長くなったので、前後編に分けます。 よろしければ続きもどうぞ! 励みになりますので♡、フォロー、コメント、よければぜひ!

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