第2話 シュレディンガーの主人公

『はぁ…?』

思わず間抜けそうな声が出た俺を咎めるものもいないだろう。

その妙な格好したオジサン…なんとかサムライだったっけ?は満足げに頷きながらこちらを値踏みするようジロジロ眺めている。


(やっべぇ〜さすが人気漫画の主人公だ。こうやって間近で見ると格好いいなぁ〜)


なんだかニヤニヤしながらブツブツ小声で喋っているけど聞き取れない。この人ヤバい人なんじゃないかな?頭ハッピーセットかよ?いや、確かに頭にハッピーって書いてあるけどさぁ…


『それでここはどこなんですか?あの世ってやつなんですかね』


「ここかい?ここはページの余白…といってもわからないか。まぁ未来の出来事が確定する直前の場所だよ。ほら、君も聞いたことくらいあるだろう?シュレディンガーの猫の話。」


『ああ、確か箱の中の猫が生きているか死んでいるかを確認するまで、両方の状態が同時に存在するってやつでしたっけ?』


「そう、それだよ。今の君はさしずめその箱の中の猫ってとこさ。君自身は自分が死んだと思っているようだし、実際このままページをめく…時を進めれば君の死という事実は確定する。



えっ…?


「よって君は生きているとも死んでいるともいえるわけだ。君はどちらを選びたいかい?」

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