見参!ハピエンすこすこ侍

河童長老

第1話 いきなりクライマックス

「貴様…まさか俺もろとも死ぬ気か?!」


『ああ、そうだ。お前はこれまでその能力を使って自分の快楽のために多くの人を殺めてきた。

だが狡猾なお前は一切証拠を残してこなかった。例え俺が妹が殺されそうになったと、警察にお前を訴えたとしても嫌疑不十分で釈放されるだろう。

そうしたらまたお前は執拗に妹を狙うだろう。今度は守れないかもしれない。そんなことはさせない!法がお前を裁けないというのなら…俺がお前を裁く!』


「ま、待てッ…お前が死んだらその妹だって悲しむぞ!赤城や黒部のこともいいのかッ?」


『妹は…紅葉は強い娘だ。赤城や黒部だってそうだ。きっと俺のことなんてすぐ忘れて幸せになってくれるさ。俺はその礎になれればそれでいい。』


「や、やめろぉぉぉ!!」


『心配すんな、幼馴染のよしみだ…外道に墜ちたお前が迷わず地獄まで行けるように俺がつきそってやるよ。さぁ…一緒に逝こうぜ?』


俺は最期の力を振り絞り能力でヤツを固定してボートから湖にダイブした。ごめんみんな…俺は…




『…あれ…ここは…どこだ?』


気づいたら俺は何も無い白い空間に立っていた。ここがあの世ってやつか…随分殺風景だな。

道連れにしたはずのアイツの姿も見えない。


『しまったな…あいつ一人で先に地獄までいっちまったか?連れていってやるって言ったのに嘘ついちまったな。』


そうぼやいていると向こうから足音が聞こえてきた。アイツなのか、それともあの世のお迎えとやらが来たのか…


カツン…カツン…


「やぁ待たせたね。」


そこにいたのは…前立にハッピーという文字をあしらった珍妙な兜を被ったオジサンだった。


『あんたは…あの世の出迎えかい?妙ちくりんな格好してるけど?』


「いいや、拙者はハピエンすこすこ侍。欲望によって助太刀いたす!」


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