第11話 厨二病になってね?
オッドアイの力を使いこなすべく、俺は一人で考えていた。鏡の前で自分の目をじっと見つめ、ふと思った。これって、もしかして厨二病の一環なんじゃないか?という疑念が湧いてきた。
「うーん…確かに、ちょっと厨二っぽいかもしれないな。」
右目の緑色が一際輝き、俺の心の中でどこか誇らしげな感覚が湧いてきた。あの力を使えば、どんな秘密も暴けるし、人の心も透視できる。それって、まるで漫画やアニメのキャラクターが持つ特殊能力のようだ。
「でも、こんな力を使っていいのか?」
俺は少し自己嫌悪に陥る。だって、これって明らかに「厨二病」じゃないか?「邪眼」や「オッドアイ」なんて、どう考えても中二病の症状そのものだろう。普通、こんな目を持ったら気味悪がられるのがオチだ。でも、今はそれに強烈な魅力を感じている自分がいる。
「まさに…厨二病全開って感じだよな。」
その時、部屋の隅から声がした。
「おい、どうしたんだ?また一人で悩んでるのか?」
振り向くと、そこに立っていたのはビヤーキーだった。もちろん、彼もハスターとの契約に参加していたため、今では俺の従者のような存在になっている。
「ああ、ちょっとな。」
俺はため息をつきながら答えた。ビヤーキーの表情には、何か心配するような、あるいは気楽な感じの無関心が浮かんでいた。
「…まあ、気持ちは分かるぜ。俺も、最初に契約した時は正直、異常な力にドキドキしたもんだ。でもな、力を手にしたってことは、もう逃げられないんだ。」
ビヤーキーの言葉を聞いて、俺は一瞬黙った。力を手にした者の宿命か。もう後戻りはできない。ハスターの力、そして他の邪神たちとの契約は、俺の運命を大きく変えたのは確かだ。
「だが、厨二病っぽい自分をどうにかしたいんだ。」
俺は思わず言葉にしてしまった。自分の力に酔っている感覚が、どこか滑稽で恥ずかしかったのだ。
「ふむ、まぁ…お前がどう感じようが関係ないだろう。だが、俺が言うのもなんだが、力を使っているうちに、その力をどう活かすかを見極めるのが一番大事だ。」
ビヤーキーは少し考えるように目を閉じ、また話し始めた。
「…例えばだな。お前のその目、オッドアイの力を使いこなすなら、力を使う目的を持つべきだ。それがなければ、ただの厨二病だ。」
その言葉が心に刺さった。力を使う目的か。確かに、それが欠けていたかもしれない。ただ単に、自分がかっこいいと思って使っているだけじゃ、意味がない。
「そうだな…俺、力を使う理由を見つけなきゃ。」
俺はふと心を決めた。そして、ビヤーキーに向き直った。
「ありがとう、ビヤーキー。お前のおかげで、少し落ち着いたよ。」
「別に。お前が決めることだ。だが、力を使うなら、使い道をちゃんと決めてから使えよな。」
ビヤーキーは肩をすくめ、軽く笑った。
その後、俺は部屋を歩き回りながら考え続けた。オッドアイの力、そして俺が手に入れた邪神の力をどう使うべきか。単に能力を使って無敵感に浸るのではなく、その力にふさわしい目的を持たなければならない。
「そうだ、目的があれば…きっと力は無駄にならない。」
力に溺れることなく、冷静にその力を活用する。それが、俺の新しい目標になった。
ただ、少しだけ不安も残った。それは、力を持つことで俺が本当に「普通でない存在」になってしまうのではないかということだ。俺の中に芽生えたその不安を、どこかで払拭したい気持ちがあった。
「まあ、今はそれを考えるのもいいかもしれない。でも、やることはやる。」
胸を張って、俺は明日からの新たな日々に向けて決意を固めた。それが、どんな「厨二病」的な選択であろうとも、俺には必要な道だと思っていた。
そして、明日からの俺はきっと、オッドアイの力を使いこなし、何かを成し遂げるのだろう――その力が正しい方法で使われるその日まで。
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