第7話 邪眼を手に入れる!
俺は自分の力を得るために必死で訓練を続けていたが、ニャルラトホテプの冷徹な指導はますます厳しくなった。それもそのはず、俺の力を引き出すには、ただの魔法や武器の使い方だけでは足りないことを、彼はよく知っていたからだ。
「お前はまだ、力を使うための心構えが足りない。」
「心構え?」
俺は訝しげにニャルラトホテプを見た。だが、彼の目は冷静そのもので、答えを急ぐことはなかった。
その日、ニャルラトホテプは俺を一箇所の建物へと案内した。外見はただの古びた一軒家のようだが、何か異様な空気が漂っている。中に入ると、そこには不気味な装飾品や魔術的なシンボルが並んでいて、まるで異世界の一部のようだった。
「これは……一体?」
「お前に必要な力がここにある。」
ニャルラトホテプは何も説明せずに、部屋の中央に置かれた小さな祭壇を指さした。祭壇の上には、まるで生物の目のような、異様に大きな「邪眼」が置かれていた。その眼は、黒い瞳を持ち、異常に深い光を放っている。
「これは……」
「その邪眼だ。」ニャルラトホテプの声は不気味に響いた。「クトゥルフ神話の力を得た者にしか扱えない、恐るべき力を秘めた代物だ。この力を得ることで、お前は新たな次元の力を手に入れるだろう。」
俺はその言葉に、警戒心を強めた。だが、今はその力を使わなければ、これからの戦いを乗り越えることはできない。
「触れてみろ。」
ニャルラトホテプの言葉に従い、俺は祭壇の上に手を伸ばし、邪眼に触れた瞬間、突如として強烈な異常な感覚が体中を駆け巡った。目の前が真っ暗になり、強い圧迫感に押し潰されそうになる。
「うっ……」
その瞬間、俺は何か別の存在と繋がったような感覚を覚えた。それは、宇宙の深淵からの声であり、無限の闇の中で僕を見つめているような、意識が引き裂かれるような感覚だった。目の前に巨大な影が現れ、まるで俺を試すかのように、冷徹に睨んでいる。その目は、何億年も生き続けた存在の目であり、宇宙の全てを見透かしているようだった。
「お前が望む力を、与えよう。」
その声が響くと同時に、目の前の影が急に消えた。そして、身体に異様な力が満ちる感覚が広がる。まるで、全てを見通す力が手に入ったかのような錯覚に陥る。
「これが……邪眼の力か?」
俺はその感覚を覚えつつ、目を開けた。周囲は元通りの空間に戻っていたが、何かが変わっている。邪眼に触れた瞬間から、視界が変わり、遠くの物まで鮮明に見えるようになった。また、目を向けるだけで、周囲の人間の心の中が見透かせる感覚があった。
「力を手に入れたようだな。」
ニャルラトホテプは冷静に言った。「だが、この力は使う者の精神を試す。」
「精神を試す?」
「邪眼の力を使いこなすには、心の強さが必要だ。お前は、他者の心を覗くことができる。だが、その力を使えば使うほど、次第に自分の心が侵され、精神的な影響を受けるだろう。」
「そんなこと……」
俺は少し戸惑ったが、もう一度目を閉じてみる。すると、目の前に現れるのは、周囲の人々の心の中だった。喜び、怒り、恐れ――すべてが手に取るように見える。だが、その中には、強烈な負の感情もあった。
「恐れは、力を使う者にとって最も危険な感情だ。」
ニャルラトホテプは続けた。「もしお前がその恐れに支配されれば、この力はお前を滅ぼすだろう。」
「分かっている……」
俺は力を振るう覚悟を決めると同時に、その危険を承知の上で使いこなすことを誓った。しかし、精神的な影響を受けるというのは簡単に言葉で理解できても、実際にそれを防ぐのは難しいことだろう。
「さて、次の試練が待っている。」
ニャルラトホテプが再び声をかける。
「お前が今、得た力を本当に使いこなせるかどうか、確かめる時が来た。」
その言葉が、俺に新たな決意を抱かせた。今度こそ、邪眼の力を完全に掌握し、これからの戦いに備えなければならない。
転生したらクトゥルフ神話の力で無双かなって思ったらめんどい事がありすぎて辛いンゴ @LAINtyuni
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