今日も私は嘘をつく(執事編)
まだ太陽も出ていない時間。
「早めに準備しなくては」
私は火を起こしていた。火は大事だ、調理器具、ストーブ、ランプ。これらの便利な道具も火がなくては使えない。普通は、鍛冶屋やビストロから火をもらってくるところだが、ここはいかせん場所が悪い。火をもらうにしても30分はかかってしまうだろう。この真冬の夜中に外に出るのは命に係わる。だからこうして火を起こそうとしているのだが……
「スターチャー、スターチャー」
昨日も使ったはずのスターチャーがない。となると……
「こするか」
ひさしぶりのきりもみ式火起こし。勤め始めたころは、よくスターチャーを隠されて、よくこすって火を起こしたものだ。
そのせいで手が革みたいに固くなった。おかげで、銀磨きの時にあまり手を怪我せずに済んだな……
もしかして、あれって先輩なりの気遣いってy……なわけないか
「っ!」
煙が出てきた。急いで、息を吹きかける。ここまでくればもう火はついたも同然だ。火のついた麻を薪に投げ、料理を始める。
井戸から水を汲んで、鍋にかける。沸騰してきたら昨日手に入れたウインナーや、野菜を鍋に入れる。ゆであがるまでにバケットを切り分け、お皿に乗せダイニングに置きに行く、この屋敷はキッチンとダイニングが近いからとても便利だ。
「そろそろ行きますか」
鍋から野菜とウインナーをあげ、配膳する。
「ありゃ」
蚊帳をかぶせお嬢様を起こすときに自分の失態に気づく、換気をするのを忘れていた。いそいで窓を開けると、冷たい空気が頬を撫でた。
「さすがに寒いですね」
今日は私の最も大切な人の誕生日
「あとは……大丈夫そうですね」
最高な一日にするつもりだ。
※※※
「お嬢様、おはようございます。」
ドアにノックをし中からの応答を待つ。
「……お嬢様入りますよ」
ドアを開け、部屋の中に入ると、ベットの中にはただれた顔、そして三つの足を持つ少女がいた。
※※※
あとがき
いつから私が続きを書くと錯覚していた?今回から執事視点で物語が進行していきます。お嬢様編で感じた違和感が少しづつ解消さえていくと思うのでどうかお楽しみに。
それとコメントくれた人。本当に救われました。歪でも頑張って書いていこうと思います。
幽閉お姫様と嘘つき執事 Karura @Karurasann
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