第6話 確かな成長
それから数週間が過ぎてステータスを更新した。
すごいスピードで魔力が成長していた。
痩せてデブな見た目ではなくなった。
でかい鼠を倒して懐が温かい。
ローガにいつものように金を渡した後、宿屋で眠ろうとする。
「待て豚」
俺はローガに呼び止められる。
「はい?」
「明日お前の剣と魔法の修業に付き合ってやる」
「はぁ」
「せいぜい覚悟しておくがいい。朝ここで待っているぞ」
「でも金が」
「心配するなすぐに強くなってがっぽがっぽだ」
「はぁ……」
溜息とも返事ともつかないような声を出す俺にローガはいらいらしていた。
「まったく意気地のない奴だ」
俺は言い返す気力もないまま眠りにつく。
翌朝、ローガとプランさんと一緒に森の中へ。
最初に魔力を制御する訓練を行い、その後、魔法を使用するイメージ訓練と、実際に使用して命中させる訓練と回復魔法の訓練を行った。
プランさん曰く一日でどうにかなるものではないが、これを続けていくだけで、なんとかなるらしい。魔力を高める訓練は俺には不要らしかった。
そしてローガと剣術の訓練をする。
いきなりローガが剣で斬撃を飛ばしてくる。
その後、何とか勇気を振り絞った俺の一撃をローガはものの見事にいなし、けりを入れる。
ただローガにぼこぼこにされ、薪割りしてローガの家に薪を届ける訓練をする。
「薪を一発で割り、俺にかすり傷をつけるのが目標だな」
「くそやってやる」
「その意気だ、俺様も雑魚相手に技を出せてすっきりしてお前の稼ぎで酒が飲めるから悪い気分じゃねぇ……仕事もきちんとするように」
俺は感謝の言葉の代わりに銅の剣でローガに攻撃する。
そしていつものように肉体労働に従事し、一日を終える。
少しづつではあるが変化がみえてきた。
まず魔法。
単純な魔法しか使えなかったが、その威力は雑魚なら一撃で数体屠れるようになった。複雑な魔法は魔法学校に行かないと習得できないが、今の時点では十分だろう。
そして問題の剣術だが、自分なりにローガの動きをよみとって体を自分なりに鍛えた。
プランさんいわく、私の回復魔法の使用量が減っているらしく、受け身をとり傷も少しづつ減っていた。
そこからさらに数週間後。
俺はついに斬撃を繰り出すことに成功する。
自分の魔力を銅の剣に流し込み斬撃として飛ばしたのだ。
ローガの左頬にかすり傷がつく。
「次はダンジョン攻略だな……精々踏ん張れ」
「ありがとうございました」
「ふん、お前が勝手に成長しただけだ。俺様は憂さ晴らしがしたかったにすぎん」
ダンジョンへと潜り、でかい蛙をしとめた。
ついでにウサギの魔物と狼を倒した。
銅の剣一本で。
俺はついに成し遂げたのだ。
ローガに好きな武器を買うといい。
もうお前から金はとらないといわれた。
「プギル」
「はい」
「よくやったな」
俺は感動した。
俺は無力じゃなかったんだ。
そして俺は数週間に及びダンジョンを踏破して、金を装備につぎ込み、久しぶりに贅沢な食事をした。
涙が出るほどうまかった。
そんな日々の中で突然真昼間。
ドラゴンが現れたのだった。
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