第4話 ステータスの儀式

 俺は悩んでいた。

 やっと明日、俺は成人する。

 勇者にぼこぼこにされていなければ高級ワインを飲み放題の生活だったはずだ。

 ステータスとは簡単に言えば魔法や剣の技量などを数値化したもので、防御力や体力、魔力量や精神力なども数値化される。

 だいたい成人になった人は必要に応じてギルドで成人の儀式と同じようにステータスの儀式を受ける。

 もちろんステータスがいいからと言って実力があるかと言えば微妙なところだということを俺は暇つぶしに読んだ書物の情報からつかんでいる。

 いわばステータスは「適正」を数値化したもので簡単に言えば結果論であり、モンスターにトラウマがあればどんなにステータスが高くても戦えないし、逆に言えばステータスが悪くても努力や頭の使い方次第でどうにかなってしまう。

 高いに越したことはないが、努力はどのステータスの値でもするということだ。

 俺はギルドで冒険者登録をしようか悩んだ。

 冒険者にならずともステータスの儀式だけならば受けられる。

 魔法が発達したこの世界ではステータスの儀式なんてたいそうな名前だけで感覚としては占いのようなものだ。

 ステータスが高ければ冒険者になることを勧められるが冒険者なんて危険だしきついし臭いし、モテないし、俺はむかつく奴をぶっ飛ばせるならそれだけでいいのだ。

 何が好き好んで血生臭い世界に足を踏み込まなければならないのだ。

 俺は宿屋の部屋でため息をつく。

 明日とりあえずギルドにいくだけいってみるか。

 翌朝俺はギルドに行ってステータスの儀式を受けさせてもらう。

 ステータスのことを早速確認した俺はひそかに喜んだ。

 平均より2割くらい高いステータスだった。

 それに魔法の適性は回復、闇魔法ふくめ全ての魔法が使えるという結果になった。

 神々からの加護や精霊、妖精からはあんまり好かれていないらしく特別なスキルはなかった。 

 生まれてこの方包丁すら持ったことのない俺に剣術のスキルが発現するとはとても思えない。

 俺は報告するか迷いながら、宿屋に入ると、ローガが怒鳴っていた。

 「生といったら一発やることだろうが、あぁん!?」

 店主は貧弱な男で女将もあきれているようだ。

 慰謝料をよこせといって貧弱な店主から金をふんだくったローガは酒を飲み、プランさんの胸を揉みながら高笑いしていた。

 「おう豚男、ステータスの結果はどうだ?今日は気分がいいからお前のような醜男でも会話してやるぞぉヒック」

 「まぁ平均より高く魔法がすべて使えます」

 「すごいですねローガ様」

 「まぁ並みの魔法戦士以上、プラン未満といったところか」

 「プランさんはすごいんですか」

 「そんな、わたしなんて」

 「ガハハ、プランは天才だからな、妖精魔法も神からの加護も、回復術も全て並みどころか一流の本職よりもすごいのだ。俺様は魔法なんて使えなくてもいいが、剣術で俺様よりすごい奴なんぞそうはいまい」

 「はぁそうなんですか」

 「今俺様はとても気分がいい。お前を召使くらいにならしてやってもいいぞ。最強の召使だ。豚だからさぞ名誉なことだろう」

 そういってさらに笑うローガ。

 「簡単に強くなれるならそれでもいいですよ」

 俺はヤケぐそ気味に呟く。

 そうして酒を飲みほしたローガは俺に銅の剣を投げ渡し一つの条件を出した。

 「その武器でダンジョン一層のボスを倒してこい。一人でな」

 「無理ですよ」

 「ふん、できなければステータスなんぞ高くても役立たずなだけだ」

 俺は悔しくてやる気を出した。

 

 それから俺の地獄のような修行の日々が始まったのだった。

 

 

 

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