第2話 出会い
俺は思い出していた。
金髪碧眼で視線が鋭いが胸がでかいメイドのアリス。
赤髪で生意気だが腹筋のラインが美しいルビア。
青髪で清楚で性格の良い甘えさせてくれるアムネシア。
俺は彼女たちのことが好きだった。
元奴隷だったこともあり厳しくしたかもしれない。
だが、メイドとして正式にうちに雇ったのだ。
別に奴隷を買うことは悪い事ではない。
合法なんだが、世間でいうところの印象はあまりよくない方向へと流れているらしく結論だけ言えば彼女たちを俺はまぁなんだかんだ奴隷扱いしていたのかもしれない。
毎日贅沢三昧だったし、少しいやらしいことをした。少しだ。胸をつんつんするくらいだ。
それ以上のいやらしいことはしていない。
しようかと思ったんだが、なんというかそういう関係にはしたくない。
三人が好きな男でもできたらそれもいいかなと思っていた。
だが、あんな野蛮な勇者に寝取られると思うと吐き気がする。
そんなことはないと思いたい。
俺は最低だし好かれることもないだろうし……。
なんだか涙が出てくるな。
ここは夢のなかか?
俺の前に三人のメイドたちが現れる。
すまなかった。
俺はそう言った。
だが彼女たちは俺を無視して勇者の方へと向かう。
勇者はほくそ笑み彼女らの腰に手を回す。
そんな奴じゃないことはうすうすわかっている。
わかっているがどうしても考えてしまう。
そりゃあ彼女たちの幸せを考えれば……いやそもそも俺は仕事を与える雇い主だ。
うーんと俺は悩む。
そして目を覚ました。
するといい匂いのする空色の髪をショートヘアにぽあぽあとした癒される雰囲気をした巨乳の女性がそこにいた。
「あ、目覚められたんですね」
「はい。あのここは」
「宿屋ですよ。私たちが通っていなければ危ないところでしたよ」
「そうですか。ありが」
そこまでいってドアが乱暴にバンと音を立てて開く。
「おう、プランここにいたのか」
「ローガ様、そのう。またですか?」
「ガハハハ、またなのだ」
そういって赤髪で目がぎらぎらとしていて、口からのぞいてみえる歯がまるで牙のようにギザギザの甲冑を着た男はそのプランという女性の胸を揉みながら、興奮しながら言っていた。
状況がよくわからないが、俺は助かったようだ。
男がいるのは不本意だったが。
「あの、ありがとうございました」
「あん?まだいたのかお前、さっさと失せろ。俺は今からこいつとヤルのだ」
俺はそそくさと退出する。
そこからプランと呼ばれる女性の声が聞こえたような気がしたが、あまり気にしないことにする。
宿屋か……。
ってちょっとまて俺は一文無しだ。
どうしようか。
俺はとりあえず、宿屋の無料の飯を食べながら考えた。
俺は宿屋の一階の部屋でボーッとしていると、女将からはため息をつかれる。
仕方ないだろう、金がないのだから。
そうしているとローガと言われる男がやってきて、へろへろになったプランと呼ばれる女を抱きかかえながら、というか胸を揉みしだきながら、ドカリと俺の前に座る。
以前は俺様といっていたが、今は状況が状況でいまいち自信を持てない。
「おい」
「はい?」
「宿代は払ってある、さっさと失せろ」
「はぁ……あの」
「あん?」
「どうして助けてくれたんですか?」
「俺はどうでもよかったんだが、プランの奴が聴かなくてな。まぁ成り行きだ」
「そうですか。プギルといいます」
「そうか。さっさと失せろ。酒がまずくなる」
「ローガ様、話くらい聞いてあげたほうが……ひゃん」
「ふん、酒の肴くらいにはなるか。話してみろ。そしてはやく有り金をよこせ」
「有り金がないのはおそらく御存知とは思うんですけど」
「うるさいわ。借金で―――――」
「そんな金額払えませんよ」
「払ってもらわなければ、こいつを襲ったと言いふらしてもいいんだぞ」
「ぐっ」
俺はなんとか事情をローガとプランに話した。
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