第44話 三人で遊ぶ(女子達)

★side:笹内薫


「薫ちゃん!仁美ちゃん!遊びに行こ!」


 学校が終わってすぐにきららちゃんが私たちの所に来て小さな声でそう言って来た。

 元々今日は三人で遊ぶ約束をしていたのでどうしてそんなに小さな声で言うんだろうとも思ったが直ぐに理解した。

 大丈夫かなって言う感じできららちゃんは真の事を見ていたからだ。

 

 前に時間が合えば一緒に遊ぼうって言っていたのでこの会話を聞かれたら間違いなく真もくるって言うからだろう。

 私は全然断れるけどきららちゃんからしたら何度も断るのもって感じだろうからね。まぁ、私が居なければ真と一緒に遊べるんだろうけどね……真にはちょっと申し訳ないけど私は海斗君にに勘違いされたくはないからね。


 私たちはそれから直ぐに学校を後にした。



 ――それから私たちはカラオケに移動して何曲か歌った後で話していた。


「薫ちゃんって歌上手だね!」

「本当にそうね」

「そうかな?ありがとう!」

「海斗君ともカラオケに行ったりするの?」


 そう言えば何回もデートはしてきたけどカラオケは来たことがなかったな。

 今度一緒に行きたいな。


「ううん。カラオケはないかな」

「そうなんだね……海斗君も薫の歌を聞いたら絶対に褒めてくれるよ!」

「そうかな……それじゃあ今度一緒に来てみるね!」


 その時私はふと気になって聞いてみた。


「そういえば仁美ちゃんってあまり男の子と居るところを見ないけど彼氏とかって居るの?」

「確かに……」

「いないわね」

「それじゃあ好きな人は?」

「それも居ないわよ」


 仁美ちゃんは迷うことなくはっきりとそう答えた。


「それって男子に興味がないの?」


 きららちゃんが仁美ちゃんにそう聞くと仁美ちゃんは答える。


「そう思って貰って良いかな」

「へーそうなんだね……」

「そういうきららちゃんの方はどうなのかしら?」

「んー、私は前も話したけどこれからって感じかな……薫ちゃんを見てたらそう言った関係にも憧れるけど、まぁ、初恋もまだだしいずれはって感じかな。そう言う事は別に急いで考える事でもないと思うからね!」

「なるほどね……確かに全然分からない私でもそう思うわね。焦る必要はなさそうよね」

「そうだよ。人を好きになるって言うのはある日突然気付くからゆっくりでも大丈夫だよ」

「そうだよねー。まぁ、今は凄く楽しいしそのままでも良いかなって思ってるしね。二人と遊ぶのも海斗君の家で働くのも楽しいからね!」

「それは良かったよ」

「そうね……所で薫ちゃん?」

「どうしたの仁美ちゃん?」

「王豪君と言えば彼って家で勉強とかはしているのかしら?」


 勉強……そう言えば海斗君が勉強している姿は見た事が無い……勉強会の時だって私ときららちゃんに勉強を教えているだけで自分の勉強はほとんどしていなかった気がするしね……でもそんな事言っちゃったら尚更海斗君に対してライバル意識を抱いちゃうよね……いや、ライバル意識を持つだけならいいけどそれが敵対心に変わって貰っても困るからな……かなり低いとは言えその可能性が無いとは言えない。


「そうだね……たまにしているかな」

「たまにね……それじゃあ薫ちゃんが居る時はしないで一人の時に頑張っているのね……」


 仁美ちゃんは言っているが実のところは分からない。もしかしたら海斗君は勉強をしなくても出来ちゃうタイプの天才って可能性もあるしね……ていうか何となくそっちタイプなんじゃないかと私は思っている。


 私がそう思っているときららちゃんが言った。


「確かに教え方も凄く上手だったよね海斗君って」

「そういえば勉強会はきららちゃんも一緒にしたんだったわね」

「うんそうだよ!そのおかげで赤点が四つも減ったからね」

「でも海斗君の教え方が上手なのもそうだけどこれは海斗君も言ってたけどきららちゃんは頭が悪い訳じゃないし覚えは凄く速かったよ!」

「ありがとうね薫ちゃん!そう言われると凄く嬉しいよ!」

「大丈夫だよ!それに今度は四人で勉強会をしようね!」


 海斗君には次回もきららちゃんと一緒に勉強会をしようねって話になっているので仁美ちゃんが混ざっても何も問題はないだろうからね。

 仁美ちゃんと海斗君はお互いに悪い印象もないみたいだし……ちょっと仁美ちゃんがライバル意識を持っている以外はね。まぁ、それも悪い印象とは違うから大丈夫。海斗君も気にしてないからね。


「まぁ、考えておくわね……」

「うん!それじゃあまだまだ歌おう!」

「そうだね!次は私が歌うね!」


 そうして私たちはカラオケを楽しんでいた。



 ――その日の夜の事だった。


「薫?今週の日曜日って空いてるよね?」


 お母さんとお父さんとご飯を食べて居る時にそう言われた。

 

 日曜日だったら特に約束事態は無いけど海斗君と遊びたいなって思ってはいた。


「何かあるの?」

「何かあるって、毎年この時期には山崎家と一緒にキャンプに行く時期だろ?それが今週の日曜日になったんだよ」


 そう言われてみたら毎年行ってたな……毎年は二つ返事で行くって言ってたっけな。

 私のお父さんと真のお父さんって学生時代の同級生で凄く仲が良いんだよね。

 母親同士も何年もご近所さんをやっていてお父さん同士が仲良しだからその影響で凄く仲良しになっているし断り辛いな……お父さんとお母さんも楽しみにしているだろうし……

 

 とにかく海斗君に電話しないとだね……海斗君が嫌がったらちゃんと断ろう!


「ちょっと待ってて今確認してくるから」


 私はそう言って自分の部屋に向かった。


 ――部屋に着いた私はスマホを手に取って海斗君に電話をかけた。


『もしもし海斗君。今大丈夫?』

『大丈夫だぞ』

『実は……』


 私は早速だけどさっきの事を説明した。


『なるほどな……』

『やっぱりまずいよね……断っておくね』

『いや……断る必要はないぞ?薫が俺の事を愛してくれている事は凄く分かっているし薫の両親も楽しみにしているんだろ?それだったら行ってきなよ。心配な気持ちがない訳ではないけど俺は薫の事は世界で一番信頼してるからな』


 私はそれを聞いて凄く嬉しくなった。

 当然行ってきて良いよと言われたことが嬉しいのではなくて私の愛が伝わっている事と、私の事を世界で一番信頼してくれている事に対してだ。

 でもやっぱり心配なんだね……だったらやっぱり行かない方が……でもお母さんとお父さんは楽しみにしているし……でもやっぱり断ろうかな。


 私がそう迷っていると海斗君が言った。


『悩んでるのか?それだったら本当に大丈夫だぞ。お互いのご両親も居るし何より泊りって訳でもないんだろ?』

『うん……夜になるけど日帰りではあるね……』

『なら大丈夫だぞ。薫も山崎とはただの幼馴染でもう恋心は無いんだろ?』

『当たり前だよ!!!私は海斗君以外の男の子とは手もつなぎたくないから!』


 これは何度も言っているが本当だ。

 たとえ真だとしても手を繋ぎたくはない。

 当然真の事が嫌いなわけではないけど手を繋ぐのは嫌だ。

 今私が手を繋げる男性と言えば海斗君とお父さんだけでそれ以外はあり得ない……いやお父さんとも別に手を繋ぎたいとは思ってはいないけど、海斗君だったらずっと繋いでいたいくらいだ。


『それじゃあ来週その分沢山一緒に過ごそう』

『じゃあ!日曜日に帰ってきたら海斗君のお家に行っても良い?』

 

 丁度三連休で月曜日も学校は無い。

 塾はあるけど午後からなので海斗君の家に泊まる事は出来る。

 お父さんとお母さんにはきららちゃんのお家に泊まりに行くって言えば大丈夫だとおもうし……まぁ最近だと、海斗君のお家に泊まるときは毎回きららちゃんの家に行くって言っているから今度は泊まりに来てもらいなさいって言われてるんだけどね……手見上げも持たせてくれてるし……まぁ、きららちゃんだったら話を合わせてくれるだろうし大丈夫かな。もしもの時は仁美ちゃんにも協力してもらえば良いしね……ていうかもしかしたらバレてるって可能性もない訳じゃないんだよね……海斗君と仲が良いって事はもう知っている訳だしね。まぁ、その時はその時かな。

 とにかく夜の8時とか9時になっちゃうだろけど、私は海斗君さえ良ければそれでも一緒に居たい。


『ははは、そんなに俺と一緒に居たいんだな……凄く嬉しいしもちろん大丈夫だぞ。俺も薫と一緒に過ごしたいしな』

『ありがとう!それじゃあ夜は海斗君に会いに行くからね!』

『あぁ、でもご両親が許可したらだぞ?それとご両親とちゃんと楽しんで来るんだぞ?もちろん山崎と仲良くしろとは言いたくないけどな』

『うん!分かった!真とは話はすると思うけどボディタッチとかは絶対に許さないから大丈夫だよ!それに毎年そうだけど二人っきりになる時間もほとんどないしね。ほとんどは六人で一緒に過ごしてるから!』

『なら安心だな!』

『うん!』


 私はその後お母さんとお父さんにきららちゃんのお家に泊まる予定が有ったから帰ってきたらすぐにっていいなら行くと伝えた結果、ちょっと渋られたがそれでも大丈夫という事になった。きららちゃんの家まで送ると言われてちょっと困ったがその辺は上手く誤魔化せたので大丈夫だった。

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2025年1月10日 19:00

エロゲの強すぎる竿役に転生した俺は既にヒロインの一人を抱いた後でした…… タコタココタ @takotakokota

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