第40話 山崎真
★side:山崎真
「なぁなぁ、真!お前ってあの三人のうち誰かと付き合ってたりするのか?」
「確かに、笹内さんは幼馴染だから分かるとしてあの南川さんとも普通に話せてるしな……どうなんだよ!」
俺の友達の後藤と斎藤がそんな事を聞いてきた。
因みに後藤は中学生の頃からと友達で斎藤は高校からの友達だ。
「どうって……付き合っては無いけど……」
「そうなのか?でもさ弘識さんは分かるけどどうやって南川さんと仲良くなったんだよ?あの人って見た目は滅茶苦茶美人なのに凄く冷たいじゃん?」
「確かにそうだよな。俺も一回だけ話す機会があったんだけど滅茶苦茶そっけなかったな。ちょっと怖かったくらいだよ。凄く近寄りがたい印象だよな」
確かにそんな印象は俺もあったな。
俺は薫経由で話す機会が増えてたんだけど話してみれば全然普通と言うか、そんな怖くないんだよ。
俺がそんな事を思っていたら後藤が言う。
「でもスゲーよな……今はあの三人が良く一緒に居るから滅茶苦茶目立ってるのにその中に真が時々一緒に居るんだもんな……男子連中からの嫉妬凄いぞ?」
「だよな。笹内さんは余り男子と話そうとしないし南川さんもそうなのに真とは話すんだもんな……」
男子たちに羨ましがられているのは俺も知っている。
それを聞いて俺としてはかなり優越感に浸れるので正直かなり嬉しい。
三人の仲に入って行く機会はそこまで多い訳じゃないがそれでも俺が唯一それが出来る男だ。
薫はもちろんそうだが、弘識さんも南川さんも男子では俺と一番話しているだろう。
それに意外だったのは弘識さんに彼氏がいた事が無いって事だ。
俺はそれを聞いて超嬉しかった。
弘識さんレベルになれば何人も彼氏がいてもおかしくないって思っていたのにいないとはな……恋に関しては意外と初心なのかもな……本当に意外だ。
薫と南川さんと違って男子慣れはしているので友達は多かったのだろうがそれは当然だ。
ていうか最近思ったのだがやっぱり三人共脈ありだと思って良いのではないだろうか?
薫は言うまでもなく俺以外の男子と仲良くしていたことが小さい頃から一度もないからそうだろうと思える。
弘識さんに関しても最近は薫達と仲が良い事もあって二人で帰る事もないが、それでも男子と一緒に帰っているって聞いたことないしな。たぶん一緒に帰った男は俺だけだろうからその事からもリードしているだろう。
南川さんに関しては男子に冷たいと言われているが俺に対しては違う。もしかしたら俺が慣れたからってのもあるかも知れないが、大体薫と同じく俺以外の男子とまともに話している姿を見た事がない。男子たちの中でも美人だけど怖いって有名だしな。
そんな訳で俺は三人共もしかして……そう思い始めている。
と言うか薫は間違いないんじゃないだろうか?
「おーい?大丈夫か?何をそんなに考え込んでるんだ?」
俺が考えに耽っているとそんな事を言われていた。
「あ!すまんすまん。それでなんだっけ?」
「いや、だからさ。お前はあの三人の誰か好きなのかって事だよ?やっぱり幼馴染の笹内さんか?」
「俺だったら間違いなく弘識さんだね。あの元気さが良いよなやっぱり」
「いや……斎藤には聞いてねーって」
三人のうちだれが好きなのか?
薫に関してはもう小学生の頃から好きだったし当然今も好きだ。
でもせっかく弘識さんや南川さんとも仲良くなれたしその二人も好きだ。
ていうか三人共かわい過ぎるしな……前にも思ったことがあるが俺は出来るのであれば三人全員と付き合いたいと思うが、それは当然そうだろう。
だって脈ありかも知れないの三人が居るんだから誰だってそう思うって……あそこまで可愛い三人ならな。
まぁ、でもここは適当に流しておくか。
余計な事を言ってややこしくなるのも嫌だしな。
「どうだろうな……良く分からないかな」
「そうなのか?俺としては笹内さんの事が好きなんだと思ってたけど?ていうか中学生の頃は両想いなんじゃねって思ってたくらいだしな」
「そうなのか!?」
「斎藤は高校からだから分からないかも知れないが中学生の頃はずっと一緒に居たしな、笹内さんって今よりずっと内向的だった事もあってな。友達が居なかった訳ではないだろうけど。」
「へぇー、そうなんだな。今では女子の友達は結構いるから分からなかったわ」
初めて聞いたが他者の目から見てもそう映っていたのか。
やっぱり薫は俺の事が好きなんだな……何となく分かってはいたが後藤がそう言うんだたら間違いないだろう。
俺はそう思ってやっぱりかと思った。
「まぁ、ずっと一緒に居たのは事実だな……今は薫もコミュニケーションを頑張っているから友達も増えたが俺としては嬉しいよ」
「でも良いのか?笹内さんが友達増えるって事は次第に男子とも仲良くなっていくんじゃないか?もしかしたら他の男子に取られるかもよ?真も聞いてると思うが最近の笹内さんって人気が更に上がってるんだろ。明るくなり笑顔が増えて可愛くなったとかな。彼氏が出来たんじゃないか?とも言われてたくらいだしな」
確かにそうだな。でも薫に限ってそれは無いだろう。
大体彼氏なんて薫が作る訳がない。ちっちゃい頃からいっしょに居る俺が一番薫の事を分かっているんだから外野が何を言おうと俺としてはどうだっていい。
「彼氏なんていないぞ?それに俺と薫は幼馴染なんだし大丈夫だ」
「まぁ、真がそう言うんだったらそうなんだろうな」
「ていうか知ってるか?この話は意外と広まってないんだけどさ……最近笹内さんに告白しようとして話しかけた人がいたらしいんだけどさ、どうやら弘識さんに止められたらしいぞ。なんか薫ちゃんは駄目!ってね。それだから一部では二人が女の子同士で付き合ってるんじゃないかって噂だぞ!」
「ごほっ、ごほっ!」
俺はそれを聞いて飲んでいた水を吹き出しそうになった。
「なんだよその噂は……それっていつの話だよ?」
「んーテスト前?」
「あいまいだな……まぁ、それは絶対にないって」
大体薫が女子が恋愛対象って事は確実にない。ずっと一緒に居たんだもしそうだったらその節があったはずだ。
弘識さんに関しても前に好きな芸能人の話をしたときに男性アイドルがかっこよく好きって言ってたしな。
「そうか?まぁ、良いや。ちょっとトイレに行ってくるわ!」
「俺も行くわ」
そう言って二人はあわただしく教室を出て行った。
あの二人に言われたからって訳ではないが俺も動いてみようかな?
でも三人と付き合いたいって素直に言うわけにも行かないよな……
やっぱりここはこっそり一人ずつ迫っていってみようか。
いや、でも露骨に迫っちゃうと皆にバレちゃうかもだしな……
もし付き合えたとするならいずれはバレるだろうけど明らかな下心を見せるわけにも行かないからゆっくりと行かないとか。
「でもまぁ、最近は薫と二人っきりで遊ぶこともなかったしとりあえず今日の放課後にでも遊びに誘ってみようかな」
俺はそう思って放課後に薫に声をかける事にした。
――放課後。
(キーンコーンカーンコーン)
チャイムが鳴って少ししたら俺は薫の元に行った。
「薫、久しぶりに一緒に帰らないか?」
「一緒に?」
「あぁ、最近一緒に帰ってなかっただろ?」
「そうだけど、ごめんね他に約束があるから無理かな」
俺がそう言うと薫はそう言って来た。
薫は考える暇もなく即答してきたのでちょっとイラっとしてしまった。
少しは考えても良いだろうが……
「弘識さんか南川さんか?たまにはいいだろ?友達が増えた事は俺も祝福するけどだからと言って流石に付き合い悪くなり過ぎじゃないか?この前だって断っただろ?」
「でも、前だったら真だって友達とゲームをするからって私が帰ろうって言っても断ってたじゃん。それと同じだよ」
「それとこれとは話が違うだろ?大体その時は薫も良いって言っただろ?その話を出すのは違うんじゃないか?」
俺は薫が少しも申し訳なさそうに話していなかったのを見て更にイラっとした。
そんな時だった。
「薫ちゃん!帰ろう!」
「帰りましょう」
俺たちの元に弘識さんと南川さんが来た。
どうせこの二人だろうと思ったがやっぱりか。
まぁ、この際だし四人で帰ればいいか。
そう思って俺は三人に言った。
「三人で一緒に帰るのか?」
「うん!そうだよ。だから薫ちゃんは私たちが連れて行くね!」
「それだったら俺も一緒に帰って良いか?」
俺がそう言うと弘識さんと南川さんが言った。
「んー、今日は女子だけで遊びに行くって約束だったからな……」
「そうよ。山崎君には申し訳ないけど今日は遠慮してもらえるかしら」
「それってどこに遊びに行くんだ?」
「それは言えないよ。女子には女子の秘密があるんだからね!」
秘密って……遊びに行く場所くらい言っても良いんじゃ、俺はそう思ったのだがそれは心にしまった。
「それじゃあ今日は良いや。その代わり今度四人で遊びに行かないか?」
「そうだね……予定が合えばかな、私は来週から結構忙しくなるしね」
「まぁ、私も忙しいから余り遊ぶ機会は無いけれどね。薫ちゃんときららちゃんが行くときに予定が合えば考えるわ」
「そう言う事だからごめんね真。私たちはもう行くから真は真の友達と遊んできてね」
薫は何故か急いでいる感じでそう言って来た。
そんなに遊びに行きたいのかな?
「分かったよ……」
「それじゃあね」
そうして三人は教室を出て行った。
「おい真!どうしたそんな場所に突っ立って?」
「そうだぞ?帰らないのか?」
その後すぐに後藤と斎藤が話しかけてきた。
「あ!いやなんでもないぞ。そうだな帰ろうか」
「あぁ」
「早く帰ろうぜー。俺は家に帰ってアニメの続きが見たいからな」
「分かった分かった。それじゃあ準備するからちょっと待っててくれ」
まぁ、女子だけで遊びに行くってなら心配ないか。
それに逆に考えたら三人が常に一緒に居るんだったら男子が割り込んでくる心配もない訳だしな。
そう考えたら焦る必要なんて全くないじゃないか。
三人とちゃんと話せる、それだけで他の男どもよりも遥かにリードしてる訳だし他の男子が入って来るなんて事はないか。
俺はそう思いつつも準備を終えて後藤と斎藤と一緒に帰った。
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