第28話 薫とお買い物

「おはよう薫」

「おはよう海斗君!」


 同じベッドの上で目覚めた薫は笑顔でそう言って来た。

 同じベッドの上で寝て何をしたのかは言うまでもないと思うが、最初の頃は痛がっていた薫も今ではすっかり慣れて来たみたいだ。

 ていうかわざわざネットで勉強までしてたみたいで流石に可愛いよな……そんな訳で滅茶苦茶嬉しかった。


「薫ももうだいぶん慣れて来たみたいだな」

「そうだね!でもまだまだ勉強するから楽しみにしててね海斗君!」

「そっか。楽しみにしてるぞ」

「うん!」

「とりあえず薫は先にシャワーを浴びて来てくれ。その間俺は出前でも頼んでおくからさ。何か食べたい物とかあるか?」

「ううん。海斗君に任せるよ」

「分かった」

「それじゃあ先にシャワー借りるね」

「あぁ」


 そんな感じで俺たちは日曜日の朝を迎えた。



 ――朝食を食べ終えた俺たちはさっそく出かけていた。


「取り敢えず三着って言ったけど欲しい服ってあるか?」

「んーどうだろう……私ってファッションとかあまり分からないからな……」

「そうなのか?私服は凄く可愛かったけど?」

「それはあれだね……中学生の頃の女友達にファッションに興味がある子がいて選んでもらってたの。良くモデルになってとか言われていろんな服を着せられてたからね……」


 ゲームではそんなストーリーは無かったがそんな事があったんだな。


「まぁ、薫は可愛いからモデルにするにはピッタリだったんだろうな」

「えへへ、ありがとう海斗君!」


 俺が出会った頃の薫だったら、こういう時は私なんて……とかそんな訳ないとか言ってたんだろうけど今は素直に受け入れてくれるようになったな。

 まぁ、こっちの方が薫は可愛いな。

 自分に自信が付いてきたのか分からないが、最近の薫はきららも言ってた通りより可愛くなってきたしな。


「事実を言っただけだしな。ていうか一応言っておくな薫」

「どうしたの?」

「俺も薫と同じくファッションセンス皆無だから、選んでって言われても無理だぞ……」


 薫がファッションに興味がないなら尚更これは今言っておくべきだよな。

 黙ってて実際に選んでって言われたときにばれたら滅茶苦茶恥ずかしいし……


「そうなの?」

「あぁ」

「んー、それじゃあ店員さんに聞くか、詳しい人に聞くかする?私も海斗君と居るときに着る服は可愛いのを着たいからね」


 ファッションセンスが良い友達どころか友達すら俺は居ない。

 それに同じ学校の人はきらら以外には頼めないしな……きららはファッションセンスが良さそうに感じるが当然ファッションに手が回るほど余裕はないので意外とファッションを知らないんだよな。

 

 ファッションセンスが良いと言えば意外だが仁美なんだよな。

 彼女はコスプレとかしているうちに普通のファッションにも興味を持ち始めてって感じだ。

 まぁ、オタク趣味を薫が知ってるかは知らないが、とにかくここは素直に店員さんに聞くのがベストだろう。


「て言っても俺には友達が居ないしな……まぁ、店員さんに聞こうか」

「それじゃあ店員さんにある程度聞いてみようか。それじゃあ行こう!」

「そうだな」



 ――そうして俺は今薫の試着を色々見ていた。


「これはどう?海斗君!」


 そう言って笑顔で言ってくる薫は当然凄く可愛い。

 今の薫は白いワンピースを着ていて凄く透き通っている。

 まぁ、当然めちゃくちゃ似合ってる……ていうかこれで5着目なのだが……全部可愛いんだけど。

 店員さんのセンスが良いのもあるんだろうけど、薫がなんでも似合うんだよな……

 袖は裾にフリルが着いているような可愛い服だったり、ちょっと露出が多めの服もあったが似合ってはいたけど余り来てほしくはないなって思うような服もあった……まぁとにかく何でも似合っていた。


 とはいえ今着ている服装が一番好きだなと俺は感じていた。


「滅茶苦茶可愛いな……俺はこれが一番好きかな?」

「ほんと!私もこれが一番好きだなって思ってたんだ!」

「そうなのか?それじゃあこの服は買おうか」

「うん!そうだね。後はどの服が良さそうだった?」

「そうだな……それじゃあ後二着は俺が一着選んで薫が一着選ぼうか」

「そうだね。そうしよっか」

 

 そう言って俺は店の中を歩き出した。


「どうしようかな……」


 俺が歩き出した理由は二着分は外で着れる服を買って残りの一着は家で着れる楽な服を買おうと思っていたからだ。

 薫は俺のシャツで良いって言っていたが流石にズボンは無いしな……ずっと下着のまま居させるわけにも行かないからな。


 そんな時俺はとあるパジャマを見つけた。


「……」


 そのパジャマは言っちゃえばフードに猫耳が着いている動物柄のパジャマだ。


 別に俺がこういうのが好きって言うわけじゃないが何故か薫が着た姿を想像したら滅茶苦茶可愛いような気がした……いや、絶対に可愛いと思う。

 薫は身長も低めなのでなおさら似合うだろう。


「よし。これにしちゃおうか……」


 取り敢えず持って行って薫が嫌がるようだったらまぁ、その時は大人しくあきらめよう。

 それに時々着てくれるくらいで良いしな。

 一応他の元々予定していたズボンだけもう一つ手に取ってから俺は薫の元に向かった。



「海斗君?これって?」

「いや、家で着れるような服を探してたんだけどこれを着た薫が見たいなって思ってな……」

「見たいの?」


 俺がそう言うと薫は恥ずかしそうにそう言って来た。


「あぁ、無理にとは言わないけどな」

「ううん。分かったでもたまにだよ?私も恥ずかしいからね?」

「良いのか?」

「うん。だって海斗君が見たいんだったら私も見せてあげたいからね」


 薫って本当に可愛いな……

 薫と付き合えて本当に良かったな、俺は改めてそう思った。


「ありがとな薫。それで薫も決まったのか?」

「うん!結局私はさっきみせたこれにしたよ」

「そっかそれじゃあレジに行こうか」

「うん!ありがとう!」


 そうして俺と薫は服の買い物を終えた。


 ――買い物を終えた俺たちは昼食の外食を済ませてから外を歩いていた。

 

 因みに外食のお題は俺も分まで薫が払うと言って聞かなかったので素直に奢って貰った。

 流石に私の稼いだお金で海斗君に奢ってあげたいなんて言われたら断れないしな。

 まぁ、これからは基本は俺が奢って、時々薫にも奢ってもらう形にすれば大丈夫そうだな。


「この後はどうする海斗君?」

「んーそうだな……何しようか……」


 そんな事を思っていたら前に知っている人がいた。

 それを見つけた俺は薫の手を取って急いで物陰に隠れた。


「どうしたの海斗君?」

「あれを見てくれよ……」


 そう言って見せたのは山崎ともう一人の男だった。

 身長は176くらいで顔もそこそこイケメンな男だ。

 そしてあいつはこのエロゲの唯一顔のイラストがあったモブ竿役だ。

 顔があったならモブじゃないんじゃないかと思うかも知れないが、アイツはきらら限定の竿役だし一度寝た人とは二度と寝ないので登場場面が本当に一瞬なのだ。

 何でイラストがあったのかは開発者曰く何となくだったらしい。

 それとあいつはギャル以外に興味がないからきらら限定なのだ。


「真と……宮里君?」

「宮里?」


 そんな名前だったかもな……


「うん。高校は違うけど同じ中学の同級生だよ」

「山崎とは仲が良かったのか?」

「んーそんな事なかったと思うけど……それに宮里君って色々噂があったからね」


 噂……それはまぁ俺と似たようなことだろう。

 といっても宮里は喧嘩とかは全くしないので女性関係のみだ。

 たしかあいつに捨てられた女子が多いくて女子を弄んでるって感じだったよな


「何で一緒に居るんだろうな……」

「何でだろう?」


 ゲームでは確か山崎ときららが一緒に居るところを見た宮里がきららに近づく為に山崎に近づいたんだよな。

 てことはもう既にきららにロックオンしてるのか?


 だとしたらどうにかしないとだよな……

 ゲームでは山崎が宮里に対して怖がってきららを紹介しちゃうのがNTRルートの入りだったよな。

 今の山崎だと何故かそのルートに行っちゃう気がする……そうじゃないと良いのだが。

 

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