第22話 薫ときらら
★side:笹内薫
「海斗君ってそんなに頭が良かったんだな……」
私は家に帰って来てから一人で先ほどの会話を思い出して呟いた。
「ていうか海斗君って出来ない事ってあるのかな?」
海斗君は体育の時間でもサッカー部の人に勝ってたし足も凄く速かった。
まぁ、身長が高いし筋肉も凄いからって言うのもあるからね。
「それにしても運動も出来て勉強も出来るんだね……」
そんな人が私の彼氏になってくれたって考えるとちょっと自信がつくな。
ていうか海斗君はいつでも私の事を褒めてくれるから前よりも今の私は自信を持てるようになったんだよね。
自信がない私を変えてくれたのは確実に海斗君だ……そう考えたら本当に海斗君には感謝しないとだね。
私はずっと前からそんな自分を変えたいと思っていたけど、きっと私一人じゃ出来なかっただろうから……
「はぁ、そう考えたら私って海斗君には貰ってばっかりで何も返せてないな……」
出会ってから今までで考えても私は海斗君に貰ってばかりだ。
海斗君は私と一緒に居られればそれで良いなんて言ってくれるけど、それは私も同じだしお互い様なんだよね。
海斗君はそんな事気にしないで良いって言うだろうけど、私的には何か出来ればな……そう思う。
「まぁ、今後も海斗君と一緒に居るつもりだし少しずつ返していこう」
今ここでくよくよ悩んでいたら昔の私と一緒だしね。
これからも海斗君と過ごして私に出来ることを見つけていこう。
「あ!そう言えばきららちゃんにも連絡しないとな」
きららちゃんは今日の昼休みに明日と明後日は一日中家に籠って勉強を頑張るって言っていたので用事もないだろうしね。
最近では授業にも積極的に取り組んでる姿を見かけるし本当に頑張っているんだって分かったし……それにテストが終わったらまたバイトを頑張るって言ってたし本当に凄いと思う。
私は最近きららちゃんとずっと一緒に居るので今では女友達の中では一番仲が良いって言えるほどだと思う。
きららちゃんと一緒に居ると凄く楽しいしね……だから私はきららちゃんの力になりたいと思った。
勉強は私が教えられるしね……
それにきららちゃんには私と海斗君が付き合ってるって教えたいなとも思ってたのも事実だ。
と言うのも海斗君と付き合ってからの私はきららちゃん曰く凄く笑顔が増えて可愛くなったって定期的に言ってくるんだよね……
凄く嬉しいんだけどきららちゃんは何かを勘づいてるのかも知れないし、何よりきららちゃんだったら誰にも言わないでいてくれるって確信をもってるからってものあるね。
後何よりの理由はきららちゃんは海斗君に対して悪い印象を全く持っていないっていう所だ。
それが何より一番嬉しいしんだよね。
だから私は二人も仲良くなって欲しいと思っている。
海斗君の事は大好きだし、きららちゃんも友達として凄く大好きだ……そんな二人が仲良くなってくれると私も嬉しいしね。
「よし。きららちゃんに連絡しよう」
そう思い私はスマホを手にした。
『きららちゃん今大丈夫?』
私がそう送るとすぐに返事が来た。
『うん!大丈夫だよ!勉強をしてたけど丁度休憩をしようと思ってたから!』
それだったら早めに切り上げた方が良さそうだね。
だったら文字で打つよりも電話に変えた方が良いかな?
『それじゃあさ、ちょっと話したい事があるから電話に切り替えても大丈夫?』
『うん!大丈夫だよー』
それを見て私は電話をかけた。
『ごめんね夜に』
『大丈夫だよーそれでどうしたの?』
『それじゃあ、勉強の休憩って言ってたから早速言おうと思うけど、きららちゃんって明日は家で勉強をするって言ってたよね?』
『うん。言ってたよ』
『もし良かったら私が勉強を教えようか?』
『え!?良いの?』
『うん!勿論大丈夫だよ』
『やったー!ありがとう薫!!!実は言うと一人で勉強をするのって凄くきつかったんだよね……ほとんど分からなくて』
そうだよね……やっぱり教えてくれる人がいるといないとじゃ全く効率が違うだろうし。
『えっと……でもね、実はもう一人一緒に勉強をしようと思っている人がいるんだよね』
『もう一人?私は全然大丈夫だけど……真?それとも最近よく話してるけど仁美ちゃん?』
真は当然違うけどきららちゃんからしたらそう思うか。
仁美ちゃんとは別に最近と言うか前から良く話していたけどそれも違うんだよね……
そう言えばあの日カフェで出会った日以降は海斗君の話をしてなかったし分からないか。海斗君ときららちゃんも接点がなかったしね。
『えっとね……実は海斗君なの』
『え!?海斗君!?』
『うん……』
『何で海斗君!?いや……もしかして薫と海斗君って……』
私は友達に言うんだと思ったら急に恥ずかしくなったが正直に答えた。
『うん……実は付き合ってるの……』
『え!?やっぱりそうなの!!!それっていつから?』
『一週間前から……』
『そう言う事だったんだ!!!薫が急に可愛くなったから可笑しいなって思ったんだよね……あ!前も可愛かったけどね?一段とって意味だよ』
『う、うん……大丈夫だよ分かってるから……でも意外と驚かないんだね』
驚いてはいるが予想より驚いていないなって思った。
『いや、驚いてはいるんだけどねー、何となく予想がついていたっていうかそんな感じかな?だって急に薫に笑顔が増えたんだもんね』
『そう……』
私はそう言われて恥ずかしくなった。
初めて言われたわけではないが付き合ってると伝えたので尚更だ。
『うん。それに真かな?って思ったんだけど、二人を見ていると違うなーって思って考えてみたら後は海斗君以外は思いつかなかったしねー』
『何で海斗君って思ったの?』
『だって海斗君と話している時の薫ちゃんって凄く楽しそうだったんだもん』
『そ……そうだったの?』
確かに海斗君と居るときは凄く楽しいけど人の目からはそんな風に見えていたんだ……やっぱり恥ずかしかもな。
『そうだよ?でもおめでとう!!!』
『うん!ありがとう!』
『でもそれって真も知ってるの?』
『ううん。きららちゃん以外はだれも知ってないよ。海斗君と話し合ってまだ秘密にしようって事になったの』
『え?それって私に教えても大丈夫なの?』
『うん。今回勉強会に誘うにあたって海斗君にも許可を貰ってるよ。でも誰にも内緒だよ』
『それは分かってるよ!』
『そう言えばきららちゃんって彼氏とかいた事あるの?』
私はふと気になって聞いてみた。
きららちゃんは凄く可愛いし凄くモテモテなのでもしそう言った経験があれば何かあれば相談出来ると思ったからだ。
『ううん。私は恋人がいた事はないよー』
『え!?そうなんだ……でもモテモテでしょ?きららちゃんって……先週も告白されたって聞いたけど』
『告白はされたけど断ったよ……それに実は言うと私って初恋もまだなんだよねー』
『そうなの?』
『うん……まぁ、私の事は良いとしてさ!それよりも明日って本当に私も行って良いの?邪魔じゃない?』
『そんなことないよ?海斗君も呼んで良いって言ってたしね』
『そっか……二人が良いんだったらお邪魔しようかな。私も勉強は凄く教えて欲しいしね』
『うん!あとね……一応場所が海斗君のお家なんだけど大丈夫かな?』
『え!?寧ろそれって私が行っても大丈夫なの?土曜日だし家族の方もいるかも知れないし……』
家族……海斗君の事を勝手に話す訳にも行かないしな……
『それは大丈夫だよ。私も海斗君もきららちゃんが大丈夫ならってスタンスだからね』
『んー、そっか。それじゃあお言葉に甘えるね』
『うん!明日は頑張ろうねきららちゃん!』
『うん!頑張るからよろしくね!』
それから少しして通話を終了した。
「楽しみだな……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます