第19話 海斗と薫の進んだ関係

「うん。本当です……これが証拠です……」


 そう言って薫がキスをしてきた数分後、薫は離れて話し出した。


「分かってくれましたか?海斗君……」


 薫は顔を赤くしながら微笑んでそう言ってきた。


「あぁ、分かったよ。それじゃあ付き合おうか」

「はい!」

「ありがとうな薫。俺も大好きだぞ」


 俺はそう言って今度は俺の方から顔を近づけてキスをした。


 先ほどは唇を合わせるだけだったが今度はもっと深いキスをした。

 舌と舌を絡めあう深いキスを……


 ――それから少しして俺たちは手を自然と繋ぎながらまた話していた。


「薫。絶対に幸せにするからな」

「うん!でもそれは私も同じ気持ちだよ」

「そっか。じゃあお互いに幸せになろうな」

「そうだね!」


 そう言ってニコッと笑う薫は本当に可愛いと思った。

 それと同時に絶対に幸せにしようとも心に誓った。

 

「それにしてもびっくりしたぞ?まさかこんなに早く答えを出してくれるなんて思ってなかったからな」

「まぁ、そうだね。でも私も私で気づいてなかったんだけどね……海斗君といない時の私って良く海斗君の事が頭に浮かんできたんだよね。それで気づいたんだ……私って海斗君の事が大好きなんだねってね」


 そうなのか……それは凄く嬉しいな。

 そんなに俺の事を考えていてくれていたんだな。


「そうじゃあ、もう山崎の事は大丈夫なのか?」

「うん!真の事だったら大丈夫だよ!もう私の心は海斗君だけって心に決めたからね。真はただの幼馴染でそれ以外の感情はもう全くないよ!」

「そっか。それじゃあ今日から恋人として改めてよろしくな」

「うん。よろしくお願いします!」


 その後も俺たちは会話を楽しんでいた。



 ――それから暫くして。


「もうこんな時間か……」

「本当だ。もうそんなに経ったんだね……」


 俺たちはベンチに座ってずっと喋っていたので気づけば既に6時30分になっていた。


「結局何もしないで喋ってるだけだったな」

「そうだね。でも私はそれでもいいんだよ。今は海斗君と一緒なら何でも楽しいって思えるしね」


 そう言う薫からは本当に俺の事が好きなんだなと伝わって来る。

 この様子ならもう大丈夫だと思うがどうなんだろうか?

 ゲームでは体から堕としていくパターンしかなかったが今回の俺は心を先に堕とた訳なのだが……

 

 でもまぁ、心から堕とすことが薫を本当の意味で自分の彼女にして幸せに出来るって条件だった訳だし大丈夫そうだな。

 それに今の薫だったら何かあれば絶対に俺に相談しに来るだろうしな……俺もちゃんと気を遣うわけだし。


「俺も同じだぞ。薫と居るときが一番幸せだしな」

「じゃあ同じだね!」

「そうだな。そういえば薫は夕ご飯はどうするんだ?」

「えっと。一緒に食べよう?親には元々友達と食べて来るって言ってあるからさ」

「そういう事ならもちろん大丈夫だぞ。それで何を食べたいとかあるか?」

「そうだね……じゃあラーメンが食べたい!」

「じゃあそうしようか」

「うん!」



 それから俺と薫はラーメンを食べ終えた後外を歩いていた。


「海斗君?今日は全部奢って貰っちゃったけど次は私が奢るからね?」


 薫は申し訳なさそうにそう言ってきた。


「俺が奢りたいからそうしてるだけで気にする事じゃないぞ?」

「海斗君が奢りたいから?」

「あぁ、俺が薫に奢ってあげたいんだよ」

「そう……でも次は私が奢るからね?」


 薫が俺と向き合ってそう言って来たので俺は薫を抱きしめて答える。


「ありがとうな薫」

「当然だよ……私は海斗君の彼女なんだからね」


 おそらく薫は俺がお金持ちだと知っても同じ事を言うんだろうな……

 俺としてはずっとお金を出したいのだが、それは薫からしても負担になるのかもな。

 まぁ、薫らしいと言えば薫らしい考え方だ。

 それにこのことは追々ちゃんと話し合えばいいか。


「そっか。それじゃあ時々薫にも奢って貰おうかな」

「うん……あの……海斗君?」


 薫は俺に抱き着いたまま上目遣いでそう言って来た。


「どうした?」

「あのね。きょ、今日はずっと一緒に居ても良いかな?そ、その海斗君と……」

「俺は勿論大歓迎だし凄く嬉しいけど良いのか?」

「うん……さっきご飯を食べ終わった時にお母さん達には友達の家に泊まるって言って来たから」


 薫はそう言って俺の事を抱きしめる力が強くなった。

 それを感じた俺はかなり勇気を振り絞って言ってくれたんだろうなと思った。


「分かった。じゃあ俺の家に一緒に帰ろっか」


 俺がそう言うと薫は無言で頷いた。



 俺と薫は互いにお風呂に入ってから同じ部屋に居た。


 因みに急だったので着替えがなかったから薫はぶかぶかの俺のシャツを着ている。


「この部屋に来るのは二回目だね」


 静かな空間だったが以外にも薫の方から話し出した。


「そうだな。あの時はいろいろあったからな」

「そうだね。でも私はあの時海斗君との事は一度も後悔した事はないよ。海斗君は?」

「後悔……それはしてないな。だってそのおかげ今薫とこうして居られるんだからな」

「私も全く同じ気持ちだよ海斗君……」

「そっか……」

「うん」


 薫はそう言って俺の方に頭を置いて寄り添う形になった。


「海斗君と一緒に居ると落ち着くな」

「そうなのか?」

「うん。海斗君っていっつも私の事を心配してくれたり温かい言葉をくれたり褒めてくれるから、私も安心して一緒に居られるんだ」

「そうなんだな。でもそれは俺も同じだぞ。薫と一緒に居ると落ち着くから」

「そうなんだね」

「あぁ」


 ――それから少しの間無言が続いた後。


「ねぇ、海斗君……」

「なんだ薫?」


 薫が小さい声で俺の名前を呼んできたので俺は優しい声でそう答えた。


「わ、私は、そ、その……ちゃ、ちゃんとそのつもりで今日は泊まりに来たからね?今回は彼女として……」


 薫が言っている事はそういう事なんだろうな……


「焦んなくても良いんだぞ?本当に大丈夫なのか?」


 薫は凄くおどおどしながらそう言って来たので俺は薫の頭を撫でながら本当に大丈夫なのかを確認した。


「大丈夫だよ……じゃなくてね、私も今度はちゃんと海斗君としたいの……今度はちゃんと彼女として愛し合って……」


 その言葉を聞いて俺は凄く嬉しくなった。

 あまりにも急展開だけどこれは薫が心の底から俺の事を好きになってくれているという事だ。


 まだ初めて話した日から一月くらいだがそのくらい俺の事を好きになってくれたんだな……


「そうだな……」


 そう言って俺と薫は目を合わせてまたキスをして俺が薫を押し倒す形でベッドの上に上がった。




 ――次の日の朝


「ははは、気持ちよさそうにぐっすり眠てるな」


 一足早く目覚めた俺は隣で寝ている薫の事を見ていた。


 まぁ、無理もないか……昨日で二回目だったわけだしな。


「とりあえず風呂にでも行くか」


 俺はそう思いつつもシャワーを浴びてくる事にした。


 ――シャワーを浴びて帰ってくると薫が丁度目を覚ました。


「んー」

「薫、おはよう」

「あ、おはよう海斗君」


 薫はニコッと笑ってそう言って来た。


「昨日は大丈夫だったか?」

「うん!私は大丈夫だよ!」

「そっか。なら良かったよ」

「うん、そ、それに初めての時とは違ってちゃんと最初から集中してたしね……す、凄く気持ち良かったよ……」


 薫は恥ずかしそうにそう言って来た。


「ははは、そっか。俺も凄く良かったぞ」

「う、うん……」


 それから薫は少し恥ずかしそうにしていたので俺は言った。 


「俺は今シャワーを浴びてきたけど、薫も浴びるか?」

「う、うん!じゃあそうしようかな!」


 そうして薫はシャワーを浴びに行った。


 俺は本当に薫の恋人になったんだなと思い少し感慨深い気分だった。

 つい一月ちょっと前まではモニターの中で見ていた人だからかな……でもまぁ、俺がこれからすべき事は決まってるな。

 ただ薫と一緒に幸せになろう……

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