第12話 三人目のヒロイン南川仁美
(キーンコーンカーンコーン)
「ふぅー、やっと終わったか……」
学校のチャイムが鳴り響き今日最後の授業が終わった。
転生してからずっと思っていたのだが授業が余りにも暇すぎるんだ。
大体前世でも高校生を通ってきたうえに王豪海斗の頭が良すぎて授業の内容がもはや足し算をするのと大差ないくらいには暇なのだ。
前世では苦手だった英語ですらマスターしてるし凄くネイティブなんだよ。
てか逆に王豪海斗は英語が一番得意科目と言っても過言ではないレベルなんだよな。
そんなわけで俺は授業中に時々うとうとしちゃったりもしているのが現状だ。
「それにしてもマジで王豪海斗って本当にチートスペックだよな……」
自分がなってみて良く分かったが本当に出来ないことあるのかってレベルでチートスペックだ。
見た目も良くて運動神経もいい。それでいて頭もえぐいくらい良いからな。
流石数あまたのプレイヤー達を苦しめた竿役って感じだよな……
とんでもステータスもりもりでびっくりだわ。
俺としては正直かなり助かってるんだけどね。
悪評が凄すぎる事以外は滅茶苦茶いい感じだ。
でも思ったんだがお金に関しては今後一生困ることはないだろうし学校に来なくてもいいんだよな俺って。
それでも高校を卒業しなくても大丈夫なのだがまぁ、高校くらいはいかないとね。
それに高校を仮に辞めたところで暇な時間が増えるだけでする事もないのでさらにつまらなくなるだろうしな。
てか薫が高校に居るからやめられないよな普通に。
そんな事を考えていると誰かに話しかけられた。
「王豪君!」
ちょっと強めの語気で俺の名前をそう呼んで来るのは何と可愛い女の子だった。
それも三人目のヒロインである南川仁美だ。
そういえばそうだったな……彼女は真面目で曲がったことが嫌いで凄く強気なんだよな。
それだから王豪海斗が相手でも唯一強気に接するだったけな。
マジで凄い勇気だよな。
まぁ、ゲームではそのせいで一番酷い狙われ方したんだけどね……勿論王豪海斗にね。
てか仁美がなんのようだろうか?ちょっと機嫌悪そうだけど。
「なんだ?」
「なんだってあなたねぇ……今日はノートの提出日だってさっき先生が言ってたでしょ?また聞いてなかったの?」
そういって仁美は持っていたノートの束を俺の机に置いて見せてきた。
あー、全然聞いてなかったかも……
授業中うとうとしてたしな俺。
ノートの提出とかしないといけないんだ。
俺はそう思って仁美が置いたノートを見て科目を確認した。
「すまん、ノートだなちょっと待っててくれ」
「全く……あなたは入学したばかりの時も……って、え?」
俺の言葉に仁美は凄い驚いたみたいだった。
たぶんだけど俺が謝ったことが余程意外だったのだろう。
まぁ、俺が転生する前に王豪海斗は仁美に対して無視を決めていたくらいだし当然と言えば当然か。
俺はそんな仁美を放っておいてノートを取り出した。
うとうとしていても一応きちんとノートはちゃんととっていたのでその辺は安心だ。
「はいこれ、遅れてごめんな」
「え、あ、ありがとう?」
俺がそう言ってノートを渡すと仁美は目をキョトンとして驚いていた。まぁそれが、当然だよな。
てかなんで仁美がお礼を言っているんだろうか。それに関しては良く分からないな。
「遅れちゃったし俺が持っていこうか?」
「え?本当に何を考えているの!?ちょっと怖いかも……」
当然そうなるよな……まぁ、確かに王豪海斗らしくないし。
でも俺は王豪海斗じゃないしこれに慣れて貰わないだし仕方ないよな。
「何も考えてないって。普通に思ったことを言っただけ」
「でも前は私の事なんて無視してたじゃない?何回も話しかけたのに全部ね」
確かにそうだったな。俺ではないが王豪海斗はそうだった。
何度もプリントをだしてと言われていたにガン無視だったわけで最終的には先生が直接きて回収していったんだっけな。
「あー、それに関してもすまなかったな。ちょっと悩んでいた事があってな……」
これは実は嘘ではない。
当時の王豪海斗は薫にロックオンしていてどうやって堕としに行くかを考えていてほかの事を気にしてなかったからな。
どう考えてもそんな事は言えるわけはないけどね。
「そ、そうなのね。まぁいいわ。これからはちゃんと真面目にしてよね」
「まぁ、ほどほどに頑張ろうと思っているよ」
「ならいいけど……それとこれは私の仕事だしそんなに重くもないから自分でやるわね。一応気を遣ってくれてありがとう」
「そっか」
「えぇ、それじゃあ」
「あぁ」
そうして振り返った仁美は首を傾げてから歩いて行った。
仁美からしたら意味わかんないはずだ……なぜならつい先日まで無視していた人間が急に変わったわけだしな。
「よし、俺も帰るか」
そう思って教室を出ると廊下で薫が待っていた。
薫はまだ帰ってなかったのか。
「薫?なんでここに?」
「海斗君、私も一緒に帰ってもいい?」
「いや……でもな……」
「ダメ?」
俺が躊躇っていると薫が上目遣いでそう言ってきた。
「ダメっていうか、俺と一緒に居ると良くないと思うけど……」
「それじゃあこれを……」
薫がそう言って渡してきたのは大き目の黒マスクと伊達メガネだった。
「え?なにこれ?」
「二人でこれを付ければ誰か分からないでしょ?それなら大丈夫かなってね」
いや……確かに相当近づかない限りはだれか分からないかもな。
それにこの学校には俺みたいな金髪の男子も結構いるわけだしな。
てか薫がわざわざ用意してきたのかこれ……
「えっと薫?……わざわざ用意してきたのか?」
「ううん。これは私が用意したんじゃなくて弘識さんが今日の休み時間にくれたの」
「え?何できららが?」
「うん。これを使えば海斗君と帰っても良いんじゃないって言ってくれたの。詳しい理由は私も分からないよ」
……きららは一体何を考えているんだ?
いや、きららの事だから金曜日の事があって変に気を遣ったのだかもな。
余計な気遣いとは言わないし正直たすかるな。
「まぁ、これがあれば大丈夫そうだな、でも今日は山崎と一緒に帰らなくて良いのか?」
「うん。真は「追い込みだー!!!!!」とか言って友達と学校が終わった瞬間教室を出て廊下をダッシュして家まで帰っていったよ。家に帰ってからみんなでオンラインゲームをするんだって……FPSのね。それに弘識さんも今日は他の子と帰る約束をしていたっぽかったし私一人で帰らないと行けなくなっちゃったから」
「そ、そうか……」
まぁ、俺が前世でゲームをプレイしていた時も山崎は超ゲーマーって感じだったしな。
てか薫は男子の友達はあまりいないイメージだけど女子の友達は多かった思うんだが……何となくそれは聞かないでおこうかな。
「うん。そうなの」
「それじゃ、一緒に帰るか」
「そうだね。ありがとう海斗君」
「あぁ」
そうして俺たちはマスクと伊達メガネを付けてから一緒に歩き出した。
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