第6話 転生後初めての学校
薫と話した二日後。今日は月曜日で俺が転生してから初めての学校だ。
記憶を辿って家から学校まで登校する。
見慣れているが初めて見る……そんな不思議な感覚だ。
俺が通っている高校は文武両道を謳っているが勉強自体は出来る人もいればそうじゃ無い人も居る。
運動に関しては本当にレベルが高い。
例えばサッカー部やバスケ部は全国常連でバレーに至っては去年全国制覇している。
因みに昨日は一日中家に居て今後の事を考えた。
ヒロインの人数は三人。
俺が竿役として機能しなくても竿役は複数人存在する。
ヒロイン達は例外なく見た目が良く性格も良い。
そんな彼女達を助けたい思いはあるが今は薫が最優先だ。
それに別に薫以外のヒロインにも手を出そうとかは思っていないが助けれるんだったら助けようとは思っている……その位の認識だ。
このエロゲは途中の分岐ルートが余りにも多すぎて細かなイベントは予測不可能だが、大きなイベントは同じ日に起こるので対処も可能だ。
まぁ、主人公がしっかりしてれば俺の出る幕は無さそうだけどね。
現在はギャルヒロインルートに入ってそうだがどうなんだろうか……
俺はそんな事を考えながら教室に入った。
俺が教室に入ったら視線を集める事になった。
これは一週間前から同じだ……
嫌悪の目が多いわけで流石にちょっと心に来るものがある。
まぁ、本質的に俺じゃ無くて王豪海斗に向けられているものと分かっているからからまだましだけどな。
それに前世から一人は慣れてるしね……
そうして俺は自分の席に着いた。
ヒロインは全員このクラスだ。
笹内薫とギャルヒロインである弘識きらら(ひろしききらら)と、学級委員長でもある南川仁美(みなみかわひとみ)だ
弘識きららは薫とは正反対で見た目が金髪のギャルで目がパッチリしていてスタイルが凄く良いい。勿論薫レベルのルックスだ。
性格は元気で活発、それから見た目からは想像しにくいがお年寄りとか困っている人がいると率先して手を貸すタイプだ……ごめん完全に偏見だわ……今のは無しで。
南川仁美は黒髪ストレートで目は鋭い。カッコイイと可愛いが丁度良く混ざっている美少女だ。
身長は168cmと高めで凄く真面目でちょっと融通が利かない所がある子で責任感が強い。そして意外とオタク趣味があってアニメが好きなのだ。
教室を見渡すときららは陽キャグループで話しているが山崎と薫と心美はまだ来ていないようだ。
――それから数分後
教室に薫と山崎が入って来た。
薫は山崎と普通に話している所を見ると一応ちゃんと話せたのかな?
堕とすって決めた俺からしたらちょっと複雑だけど、それで薫を傷つけるのは本末転倒なのでまぁ、仕方ない。
そんな薫は俺とふと目が合うと薫はニコッと笑顔を向け来た。
時間としては一瞬だったので俺以外は誰も気づいていないだろう。
そんな時きららが山崎に接近した。
「やっほーおはよう!真に薫ちゃん!」
「おはよう……弘識さん」
「お、おはよう、弘識さん」
「だから二人ともきららで良いって♪」
「まだ慣れてないからね……」
「そうだよ。まだ会ったばっかりだしさ」
相も変わらずハイテンションなきららに対して山崎はデレデレしていて薫はちょっと思う事があるようだ。
確かきららが山崎に絡んでいる理由は席が隣になったので何となくって理由なんだよな。
それから山崎に対して反応が面白いからって揶揄いつつ接近し始めたって感じだったと思う。
きららも薫が山崎に対して恋心があると思っていないし悪気はないんだよな確か。
それにしても山崎はのんきだな……薫が隣にいるのにあからさまにきららに対してデレデレしてるし……この様子だと薫が泣いていた事は知らないんだろうな。
これからヒロイン達に降り注ぐ災難に本当に対処できるのか?ってくらい頼りなく見えるわ。
因みに山崎のスペックはこんな感じだ。
身長170cm体格は普通、顔は平均値、勉強はこの学校でも真ん中ちょっと上でまぁまぁ出来る方で運動は苦手。
帰宅部でゲームが大好きで暇さえあれば仲間内でPCのオンラインゲームをしている。
そんな訳で夜更かしも良くする。
「これからどうなんだろうか……」
俺はそう呟いた。
◇
――学校が終わり放課後になった。
俺は日直の仕事をしていて今は教室に一人だ。
今日一日様子を見ていたが山崎がきららを気にしているのは明らかだった。
そんなのを近くで見ている薫は相変わらず辛そうだし居た堪れない気持ちにはなったよ。
まぁ、でも俺からしたら好都合でもあるのかな。
「まぁ、いいや帰ろ」
俺がそう思って帰ろうとしたら教室のドアが開いた。
「げっ!」
俺を見てそう言うのは弘識きららだった。
スゲー失礼だなと思いつつも俺の噂を知って居たら誰でもそうなるだろうなと納得した。
「げっ!て失礼じゃない?まぁ、良いけどね」
「ごめんね……ちょっとびっくりしちゃって……噂とか色々あってさ」
俺がそう言うときららは少し申し訳なさそうにそう言って来た。
「もう慣れてるしね。それよりどうしたの?」
「えっと……ただ忘れ物しちゃってね……」
「そうか……」
そう言ってきららは自分の席に行って袋を取り出した。
「海斗君は何をしているの?」
「俺は普通に日直の仕事をやってただけだぞ」
「そうなの?意外だな……」
「いや……自分の仕事くらいちゃんとやるって……」
分かってはいたが王豪海斗ってそう言うイメージで固まってるんだろうな。
こりゃ払拭するまで凄く大変そうだな……まぁ、仕方ないか。
「もしかして噂より怖くない?」
「さぁ、それは自分で判断してくれ」
「それもそうだねー」
そんな事を話しているときららは時計を見た。
「あ!やぱい!時間が!私急がないとだからバイバイ!」
「あぁ」
そう言ってきららは急いで教室を出ていった。
◆
――俺は帰っている途中に考えていた。
「弘識きららか……」
彼女は学校ではアイドル的存在で男女共に人気だ。
友達も多く彼女と近づきたい人は山ほどいるだろう。
そんな彼女には誰にも言っていない悩み事がある。
彼女は幼いころに両親を事故で亡くしている。
今はおじいちゃんとおばあちゃんとの三人暮らしでかなり貧乏暮らしをしていたはずだ。
そんな彼女はおじいちゃんとおばあちゃんが大好きで少しでも力になりたくて中学生の頃から学校にバレない様にバイトをしていた。
そしてそれは今でも続いている。
うちの高校ではバイトは許可制だ……しかし彼女は中学生の頃から成績が低い事から許可は出ていない。次のテストで全教科平均点以上を取れたら許可すると言われていたはずだ。
そんな訳で高校でも内緒でバイトをしているのだ。
まぁ、ここまではまだ良い……
しかし未来の話だが彼女のおじいちゃんが倒れるのだ……
そして入院費とかでどうしてもお金が必要になった弘識きららは自分の体を売ってでも稼ごうとするのだ。
それに気付いた主人公が寄り添ってどうにかしようとする。
主人公の親に相談してどうにかお金を借りたりと色々な方法でな。
そこから弘識きららは主人公である真に対して恋心を抱いて行くんだったよな。
弘識きららは学校で人気があってそのイメージが崩れるのが怖くて誰にも相談出来ていないのだ。
そうする事によってイメージが崩れ友達が離れると思っているからだ。
まぁ、そこには皆の期待を裏切りたくないって事が大きかったきがするな。
と言っても今の俺に出来る事は無いだろう。
大体俺がおじいちゃんが倒れるよ?なんて言える訳無いしね。大体両親が居ないって事自体誰にも言って居ないし俺が知ってたらかなり怖いよな。
でもまぁ、今は主人公がきららと仲良くしてるっぽいし大丈夫かな。
俺は薫の事が最優先だしね。
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