第5話 山崎真(ゲーム主人公)
「真ー!今日一緒に帰る?」
俺には最近仲良くなった女子がいる。
それが今そう言って来た女子だ。
彼女は弘識きららさんと言って凄く可愛い子だ。
それこそ一年生でもトップクラスと言われている女子だ。
弘識さんとはただ席が隣ってだけだが弘識さんは俺に良く話しかけて来てくれる。
弘識さんが何故俺に話しかけて来るのかは分からないが俺は毎回ドキドキしてしまう。
だってあんなに可愛い人に話しかけられるんだ……男子だったらそうなるのも当然だ。
俺はそんな弘識さんに対して出会ってからまだ一週間だが完全に好きになっている。
一緒に帰ろうと言われて断る理由がどこにもない。
「良いの?」
「良いよー今日は友達が皆用事があっていないからねー」
「そ、それじゃあ、か、帰ろっかな……」
「ははは、緊張し過ぎでしょ」
俺は緊張でついどもってそう言ってしまったが、弘識さんは笑って流してくれた。
本当に素敵な女性だ。
そうして俺は弘識さんと帰る事になった。
◆
――俺は弘識さんと一緒に帰りながら話していた。
「真ー」
「はい……」
俺は弘識さんに名前を呼ばれて立ち止まった。
「真って彼女とかいるの?」
「いや、いないよ……」
「それじゃあ好きな人は?」
「い、いないって」
「へーそうなんだー、でも薫ちゃんとは幼馴染なんでしょ?好きではないの?」
俺はそう言われて思い出した……
そう言えば今日薫と一緒に帰る約束をしてたっけ?
弘識さんに一緒に帰ろうと言われて嬉しくなって忘れてしまっていた……
でも薫だったら後日謝れば許してくれるだろう。
俺はそう思い今は弘識さんとの会話に集中する事にした。
薫の事は正直に言うと好きだ。
幼馴染だしあんなに可愛いんだ当然だ。
弘識さんとどっちが可愛い?と聞かれれば好みの問題だと思うが俺には答えが出せない。
それに俺以外の男子と必要以上に仲良くしている姿も見た事ないし薫も俺に凄く懐いてくれているしな。
でも弘識さんの事も好きだ。
質問の意図は分からないがもしかしたら俺の事を……
そう思ったらとてもじゃないけど薫の事が好きとは言えないな。
俺はそう思い言った。
「い、いや……薫はただの幼馴染だって……」
「でも薫ちゃんって凄く可愛いじゃん?それなのに?」
「そ、そうだって……大体小さい頃から一緒に居る奴を恋愛対象として見れる訳ないって」
「そうなんだー意外だねー」
弘識さんはそう言って納得してくれた。
とりあえず誤魔化せて良かった……
その場しのぎの嘘だけどね。
そう思っていたら弘識さんに聞かれた。
「じゃあ真って彼女いた事はあるの?」
「えっと……どうして?」
「特に理由はないけど、女性に対してあまり免疫なさそうだなって思ってねー、薫ちゃんがいるのになーって」
そりゃ薫とは幼馴染だしな。
それに俺は薫以外の女子とはまともに話したことも無いし……
でも弘識さんみたいに経験豊富そうな人は、そう言う経験があった方が良いって友達が言ってったっけな?
弘識さんもそうかもしれないな。
俺はそう思いつい虚勢を張ってしまった。
「い、いや……彼女はいた事あるよ?」
「えー?本当に?」
「ほ、ほんとうだよ!」
「んーじゃあ私と手つなげる?」
「と、当然だろ……手どころか腕も余裕で組めるよ?」
俺はそう言って腕を組んだ。
正直内心では心臓が爆発しそうだ……
「ははは、面白いね。真って」
「そ、そう?」
「うん。でも腕を組むのはもうおしまいね。こういうのは好きな人としてね?」
弘識さんは笑顔でそう言って来た。
俺はそんな弘識さんの笑顔に完全に心を奪われていた。
今ここで弘識さんの事が好きかもと言いたいが、それはかなり怖い。
振られたらもう話せないかも知れないし……だったら今のままでもいいや。
俺はそう思いただ弘識さんの言葉に従うしかなかった。
「そ、そうだね……」
「そうだ!真の家ってどっち方面なの?」
「俺の家はあっちだね」
俺はそう言って東の方向に指を指した。
「そっか。じゃあここでお別れだねー私あっちだからー」
「そ、そうなんだ……」
「うん。それじゃあじゃあねー」
「う、うん」
――俺はそれから一人で帰っていた。
「はぁー、本当に可愛いな……」
弘識きららさん……クラス……いや学年でも可愛いと評判で男女共に凄く人気のある子だ。
普段は陽キャのグループに属している彼女だが定期的に俺の元に来てくれる。
弘識さんはコミュニケーション能力が高く男子とも仲が良いが俺以外の男子と二人っきりで話している姿は見た事がない。
「それにしても薫とは違う可愛さだよな……」
薫も見た目が良いので男子からは人気がある。
しかし薫は弘識さんと違ってあまり男子とは話せない性格で、基本女友達と居るか俺と居るかのどっちかだ。
そんな訳で男子人気で言うと弘識さんの方が高い。
誰とでも仲良く出来る性格だから。
「そう言えば薫って一人で帰ったのか?」
そう思うとちょっと悪い事したな……
今からでも連絡するか?
俺がそう思っていたらお母さんから連絡が来て買い物を頼まれた。
「お!ちょうどいいなこれ」
俺は母さんから頼まれた事を理由にして薫に言い訳しようと考えた。
流石に一緒に帰る約束を忘れて弘識さんと一緒に帰ったなんて口が裂けても言えないしな。
俺は弘識さんともっと仲良くなりたいがだからと言って薫と仲が悪くなるのも嫌だしな。
そうして俺は薫に連絡するのをやめて後日話す事にしてそのまま買い物に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます