第3話 笹内薫の傷心

★side:笹内薫


「え?何で……」


 今日の放課後私は幼馴染である真と一緒に帰る約束をしていたので先生に頼まれたプリントを届けて来た後急いで教室に帰って来た。

 そして私が教室に入ろうとしたら反対のドアから真が出て来た。

 それもクラスメイトの弘識きららさんと一緒に……

 そしてそんな二人は私に気付かないまま廊下を歩いて行った。


 真ときららさんは高校に入学した時から何故か凄く仲が良くなっていた。

 私が真に何があったのかと聞いてもたまたま仲良くなったとしか教えてくれなかった。


 最近は私よりもきららさんと一緒に居る事の方が多いかも知れない位だ……

 それに真もきららさんと話す時の顔が……

 

「真……私と帰るんじゃ……」


 いや……もしかしたら校門で待ってくれるつもりなのかも。

 私はそう思う事にして涙をこらえながら急いで自分の鞄を持ってから校門まで行く事にした。



 ――私は靴を履き替えて玄関を出た。


「真は……」


 私が真を探すと既に玄関には居なかった。

 私は急いで校門まで向かった。


「……」


 そこで見たのは真がきららさんと一緒に歩いて校門から出て行く後ろ姿だった。


「何で……なの……」


 私は置いて行かれた事に酷く心が痛くなった。

 私との約束を破ってきららさんと帰っている真を見て凄く悲しくなった。

 

 せめて連絡の一つでもしてくれれば……

 それでも悲しいがせめてその位はして欲しかったよ……


「ぐすっ……」


 私は既に泣きそうだったがまだ学校の敷地内だし人が多いのでどうにかこらえた。


 それから私は歩いていた。


 帰り道が同じなので前方に二人の姿が見える……

 違う道を行けばいいと思うかも知れないが、二人が気になって駄目だ。

 

 距離があるので二人の声は聞こえないが、きららさんが真の背中を叩いたり凄く仲が良さそうだ……

 それに真は真で嬉しそうだし……


 そんな私の目には涙で潤んでいた。


 私は自分自身心が弱い事を自覚している。

 そんな性格を昔から治したいと思っていても上手く行かなかった。

 それもあり私との約束を破って他の女子と楽しそうにしている姿を見るのが凄く悲しく涙をこらえる事が出来なかった。


 そんな時だった……二人が止まって私との距離が縮まったので私は物陰に慌てて隠れた。


「真って彼女とかいるの?」

「いや、いないよ……」

「それじゃあ好きな人は?」

「い、いないって」

「へーそうなんだー、でも薫ちゃんとは幼馴染なんでしょ?好きではないの?」


 私はそれを聞いて心臓がバクバクした。

 真はどう思っているんだろうか……


「い、いや……薫はただの幼馴染だって……」

「でも薫ちゃんって凄く可愛いじゃん?それなのに?」

「そ、そうだって……大体小さい頃から一緒に居る奴を恋愛対象として見れる訳ないって……それに薫は色々と子供っぽいしちょっと手がかかる事もあるし俺が薫を好きになるなんてあり得ないよ。」

「そうなんだー意外だねー」


 そんな会話をした後に二人は再び歩き出した。

 そして真の最後の言葉が私の心に深く傷をつけた。


「ど……どうしてなの……」


 そして二人は腕を組み始めた。

 それも見た感じ真の方から……


 私はそれを見た瞬間、地面に座り込んでいた。

 それからは二人の方を見ずに只々泣いていた。

 真はきららさんの事が好きなんだ……私はただただそう思って泣いていた。


 そしてその後私はたまたま近くにいたと言う王豪海斗君に連れて行かれた。


 彼には良くない噂が多かった。

 私も怖いと思っていたのだが彼の押しの強さに断れずついて行ってしまった。

 それに私は真の事で頭が働いて居なかったし……

 

 彼の家は大きめで誰も居なかった。

 私はヤバいと思いつつも帰ると言えなかった。


 そんな私の考えと裏腹に、彼は思ったより優しかった……私の話を聞いてくれて慰めてくれた。

 私は正直に言うと真が私よりきららさんを選んだ事にかなり傷心していた。

 恐らく彼が居なかったらずっとあの場所で泣いていただろう。

 

 暫くして私は押し倒された。

 これから起こる事は理解していた……

 そんな時私は思った……きららさんってかなりグイグイ行くタイプだよね。

 もしかしたら真も今頃……

 

 そう思ったら私はこのままでいいかもって思ってしまった……

 明日後悔するかも知れない……でもそう思う位には心が痛かった。悲しかった。そして苦しかった。

 普通の女の子だったらこんな想いにならないのかも知れない、やっぱり私の心が弱いせいなのかな……


 そうして私は初めてを彼に捧げていた……




 ――次の日私が起きると海斗君は起きていた。


 私が海斗君の事を見ると裸だった……ていうか私も裸だ。

 私は昨日の事を思い出して凄く恥ずかしくなって手で胸や股を隠して挨拶をした。でも私は意外と落ち着いていた。


「おはよう……」

「な!?」


 私が恥ずかしさで死にそうな中どうにか挨拶をしたら海斗君はおかしな反応をした。

 私には良く分からないけど何故か凄く驚いた表情だった。

 

 そんな時ふと下に目をやると海斗君のアソコが凄く大きくなっていた。

 あんなにデカいのが昨日私の中に……

 それよりまた大きくなっている。

 そう思ったら私は呟いていた。


「また大きくなってる……」 


 私はそう言った事が凄く恥ずかしかった。

 もしかしたら海斗君はまた……

 昨日は私もおかしかっただけでもう間違いを起こす訳にはいかない。

 私はマズいと思って恥ずかしいなか慌てて言った。


「ごめんね……私も昨日が初めてだったから今は無理かも」


 私がそう言っても返事がない……

 私が少しして顔を上げると海斗君は難しい顔をしていた。

 正直私は海斗君が噂通りの人とは思えないが、もし本当なら私が何を言っても今押し倒されるんじゃないかと少し怯えていたのだがそんな感じはなかった。

 

「どうしたの海斗君?」

「……」


 私がそう聞くと海斗君はお腹を抱えてうずくまった。


「いや、ちょっと腹が痛くてな……ちょっとトイレ行ってくる」

「うん。行ってらっしゃい」


 本当にお腹が痛かったのだろうか?

 私はそう思ったが、押し倒されなかった事に安堵して服を着始めた。


「はぁ、やっちゃったな……」


 今の私は正直に言うと凄くおかしな気分だ……

 昨日の私は正気じゃ無かった。

 海斗君がどういう人なのかは噂で知っていたはずだ。

 いや……実際の海斗君は噂みたいに酷い人ではなかった。

 だって昨日の私は断れたはずだし決して無理矢理では無かった。

 私の事をずっと優しく慰めてくれたしね……


「それにしてもあんな感じなんだ……」


 初めてだったので最初は凄く痛かった……でも最後の方は……


 私は昨日の事を思い出して顔が熱くなるのを感じた。


「はぁ」


 でも私の初めては真だと信じて疑っていなかったのに……

 後悔していると言えばしている。

 でもそれで海斗君を恨むとかは無い……これは私の心が弱かったせいだからだ。

 

 それどころか海斗君は良い人だったし好感度は間違いなく上がっている。

 海斗君が居なかったら私は今頃家でずっと泣いていただろう。

 でもやっぱり私は真が好きだ……それは今でも変わっていない。

 だからもう絶対に間違える訳には行かない。

 ちゃんと真と話さないとだね……


 ――その後海斗君が帰って来た。


「おかえりなさい……」


 私がそう言うと意外な言葉が帰って来た。


「大丈夫だったか?初めてで無理させたかもだけど」

「うん……最初は痛かったけど優しくしてくれたし最後の方は気持ち良かったから……」


 そう言う海斗君は心配そうな顔だった。

 やっぱり噂とは違う。

 そんなだから今の私は海斗君に対してマイナス感情が無い……もしかしたら色々ありすぎて感覚がおかしくなっちゃってるのかも知れないけどそれは私には分からない。

 そう思ったから私は本当の事を言ったが……流石に恥ずかしいよ……


「なら良かったよ……今は動けそうか?」

「まだちょっと違和感があるからもう少ししたら大丈夫になるかな……」


 正直どう表現するのが正しいのか分からないがそんな感じだ。


「やっぱり恥ずかしい?」

「は、はい……」

「そっか。じゃあもうちょっとゆっくり話そうか」

「わかりました……」


 そう言って海斗君は私の直ぐ隣に座って来た。

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