Chapter 005 とある女神の置き土産
サクヤが惑星メラに到着して、約一か月が経った。
その間に女神サクヤはすっかり元気を取り戻し、この美しい惑星生活を十二分に謳歌していた。
現在、彼女は神の箱庭の中央の監視室が入っている円柱状の塔にほど近い彼女の私邸である洋風の三階建てコートハウス状の建物中庭の洋風の東屋で、
サクヤ邸には、彼女が到着して神使としてすぐに創った「自動人形」がおり、猿のお面を被った執事を筆頭にそれぞれ動物のお面を被った侍女や料理人の十数人が身の周りの世話一切を行ってくれる。箱庭内での神力の開放は契約書のタブーに抵触しないからだ。
毎日が最高。あの地球での悪夢のような出来事の日々がまるで嘘だったかのように心が洗われていく感じ──。
それにしても、私が最初に組んでおいたプログラムが上手く機能してて良かったぁ!
サクヤは以前、惑星メラに休暇中に訪れた際、大量の魔物対策の一部として、これから惑星間移住してくる知的生命体のためにいくつかのプログラムを惑星のシステムに追加しておいた。
ひとつは「想力」と彼女が名付けた強い意思や信念、想像力と精神力を掛けあわせたものをエネルギーとして引き出すことができるようにしたこと。
また、ステータスやスキルという形で能力を数値、言語化して客観的に確認・評価できるようにし、それを行使する能力やアイテムのロックを解除し知的生命体に対して、ステータス閲覧許可を与えたこと。
他にもいくつかあるが、当時はこの二つをメインで機能させることを優先としていた。
そのお陰もあって、次々と惑星メラに移住してきた各惑星の種族は、その能力を駆使して次々と魔物の勢力圏を塗り替えていったそうだ。
しかし、一部の種族は元々持っている固有の能力もあったりするので、一番「想力」の恩恵を得たのは地球から移住してきた人族だったらしい。
また、人族は他種族と違って好戦的、野心的な傾向にあり、移住時に各天使達に釘を刺された「他種族の生活領域への領土・領海的侵犯の禁止」は破らないものの、同じ人族の国同士や国内でも陰謀や
うーん、人族って相変わらず「困ったちゃん気質」な種族だよね~。
まあ 天使ちゃん達に惑星の交渉先を任意にしたので、人族はダメなんて言えないし……。
何かと血の気の多い種族だけど、私が地球に居た頃も彼らを見守ってたから何だかんだいって結構 愛着もあるし、まっいいか!
朝食を終えお茶を愉しんでいると、ガゼボの少し外側の何もない空間にモニターが浮かび上がり天使アラネルが映し出された。
「主よ、先ほど群発的かつ大規模な地震動を検知しました。」
「ぶぅぅっ!! ぶはっ、ゲホゲホっ」
ど派手にお茶を口から吹き出しつつ、少し器官に入ったらしく派手に咳き込む。
「はぁ、はぁ……、それで、どれくらいの被害が出そう?」
「はい、地震による被害としては、各種族の建物の崩落等で多少の物的・人的被害報告が出てきておりますが、地震の影響による津波は現在のところ確認されておりません。それよりも……」
「それよりも?」
「主よ、監視室にお越し頂けますでしょうか?」
まぁ♪ あらあら、なんということでしょう!
世界各地で突然、魔物さん達がい~~っぱい増えたぁ!
さぁ~て、この魔物さん達は、一体どこからやってきたのかな~?
あっ、見ぃ~つ~けたっ♪
あの例の「黒い函」からだ~。
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・ ぐっ!
ぐおおおぉ! ガッデム、畜生ぉぉ! 放置するんじゃなかったぁぁぁぁぁぁ!!!!!
監視室の自席でモニターを見ながら髪をかき毟り、悶え苦しむサクヤを見た天使達は最近では、女神のワンマンショーにも慣れ、少し目をやるもののあまり気にしなくなっていた。
モニター上では黒い函から次々と魔物が掃き出されていく映像が映し出されており、一定量を掃き終わった黒い函から順番に、薄い膜が降りていくように黒い函の中身が姿を見せ始める。
中のものはどんどん膨張、変容し様々な建造物等に形容を変えた。
姿を見せたのはダンジョン、塔、浮遊要塞、洞窟、島、海底宮殿、船など多様にわたる構造物の数々。
「主よ、如何いたしましょう?」
天使アラネルから対応方針の指示を請われるが、まだ、頭がうまくまとまらないため片手を上げ少し待って欲しいと頼んだ。
ちょっと頭を整理しよう。
なに? あのギミック?
これはおそらくというか明らかに神為的でしょ!?
私へのサプライズなプレゼント?
アブちゃんや他の神から?または抽選の秘密特典?
いやそれにしては被害が……。
なんかこう……何だろう?
悪意のようなものを感じるような感じないような……。
うーん、ちょっと考えてみたけど、発生した原因はやっぱり今はわかんないや……。とりあえず現状の打開策を考えないと……。
まずは前提条件……。
神は、惑星に住むあらゆる生物に対して”
次に天使達は、それぞれが司る恩恵……ギフトを授けられるが、元々、一定の条件を満たしたものの誕生の際に与えているものらしく、後出しは余程の高いハードルをその生命体がクリアしてくれないと授けられないらしい。
ん~~。ん?
手詰まりやないか?
どうしよう? 自分ん家の神使達を地上に派遣して無双させようかな?
でもこれもグレーな感じかも……。
自浄作用を期待するしか打つ手無しかな?
となると、以前から仕込んでおいた〝
サクヤは、何か思いついたように監視室中央の自席のコンソールパネルで何かを作業し始めた……やがて。
よぅし、で~きたっっと!
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