エッグドロップ

科学部の部室。


谷先生

「おまえら遅えわっ!!」


真智

「谷先生~。

今日本当に部活やる気なんですか?

明日にしませ~ん?

あたし、帰りにマ……」

谷先生

「却下!」


真智

「ちょっ、谷先生!?

あたし、まだ理由「マ」しか言って無いですよ!?」


谷先生

「ママのお迎え却下!

はい次」


真智

「ちょっと谷先生~!?」


「真智、お前、この歳で……?」


真智

「宙、ち、違うんだよ!」


四葉

「私誰にも言わないよ~」


真智

「四葉ちゃんまで!

みんな違うの!

ママじゃなくてマンガ!

あたし今日学校の帰りに新刊のマンガを買いに行きたいの!」


谷先生

「真智、お前なぁ~。

そんなのわざわざ今日買い行かんで

明日でええやろ?」


真智

「絶対今日続きが読みたいんです!」


谷先生

「アカンアカン、却下や!」


真智

「ガクッ。

しゅ~ん」


四葉

「真智ちゃん、落ち込んでる~?

大丈夫~?」


真智

「ううん、大丈夫だよ。

ありがとう、四葉ちゃん」


谷先生

そら、お前は今日部活出れるやろな?」


「谷センセー今日はすんませ~ん!!」


谷先生

「なんでや?」


「あたい実は今日っすね、

最近入った陸上部女子新入部員の着替えを観に

女子更衣室に行くんでぇ~、

えへへ、

えへ、

えへへへ~w」


谷先生

「もう、てぃんでしまえ……。



ほな四葉!

お前はどうなんや?」


四葉

「私はお父さんが山にイタチ狩りに行ってる間に

川に夕食のコケを採りに行かないと~」


谷先生

「え~い!

おのれはメソポタミア文明から出直せ~い!


コホン!

じゃあみんな今日の部活に参加でいいんやろな?」


真智・四葉・宙

「へ~い」


谷先生

「何やそのやる気無い返事は?」


真智 小声

「ねえねえ、四葉ちゃん?」


四葉 小声

「どうしたの真智ちゃん~?

ひそひそ声で~?」


真智 小声

「谷先生、いつもは授業も部活も全然やる気無いのに、

こういう自分が好きな分野の時だけ

みんなを巻き込むよね~?」


四葉 小声

「これが谷先生の性格だから

仕方ないんじゃないかな~?」


真智 小声

「そうだね~」


谷先生

「なあ、真智?

うちの今の説明で何をするかわかったな?」


真智

「え、え~と……」


四葉 小声

「真智ちゃん~?

谷先生は生玉子を高い所から落としても割れない

仕掛けを三人で考えなさいって言ってたよ~」


真智 小声

「ありがとう四葉ちゃん」

真智

「谷先生!

あたし玉子を割らないいい方法思い付きました!」


谷先生

「ホントかぁ、真智早いな~!」


真智

「とにかく玉子を割らなければいいんですよね?」


谷先生

「ああ、まあそうだな」


真智

「あたしに任せてください」


谷先生

「おお。作るのに時間はどれくらいかかりそうなんだ?」


真智

「10分で出来ます」


谷先生

「10分?

真智、それ正気か?」


真智

「大丈夫です。

三人で今から話し合って大丈夫ですか?」


谷先生

「いいぞ、じゃあうちは20分くらいしたら部室に戻ってくるからその時に見してや」


真智・宙・四葉

「わかりました~!」


「なあ真智、谷先生に本当にあんなこと言って大丈夫なんか?」


真智

「大丈夫。

二人とも耳貸して!」


四葉

「なあに~?」

「何だ?」


真智

「実はね……」




谷先生

「お前ら~、

戻ったぞ!

真智? さっき言ってた装置は出来たか?」


真智

「出来ましたよ」


谷先生

「どれや?」


真智

「これです」


谷先生

「これって、装置なんてどこにも無いやん」


真智

「先生……!?

まさかこの装置見えないんですか?

バカな人にだけは見えないらしいんですが、

谷先生はもちろん冗談で見えないって言ってますよ……ね?」


谷先生

「おい……、真智。うちをからかうなよ」


真智

「からかってませんよ!

ねえ、四葉ちゃんはこの装置見えるよね?」


四葉

「うん~」


谷先生

「まじかー!?」


真智

「宙も見えるよね?」


「何が?」


『ぎゅ~』

「痛てて、痛てて、

見える、見える」


谷先生

「おう……。うちも見える」


真智

「谷先生?

それ、ホントにホントですか~?」


谷先生

「真智!

うちをおちょくるな!

うちが見えるっていったら見えるんや!


ところで、ちゃんと玉子落としても割れないように作ったんやろうな?」


真智

「も、もちろんですよ~!」


谷先生

「じゃあ、まあ今回はお前らに特別にハンディをやろう。

本当は3メートル以上って言いたいところだが、

何メートルって条件うちは先に言わんかったからな。

うちが2メートル上から玉子を落として割れんかったら

お前らの装置みとめたる」


真智

「やった~!」


谷先生

「じゃあ、今から玉子落とすで?」


真智

「いいですよ」


谷先生

「そらっ!」


谷先生が玉子から手を話し、

玉子は一瞬で下に落ちた…………

はずだった。



谷先生

「?????


………………、


なあ、真智?

これ一体……、どうやったんや!?」


真智

「谷先生びっくりしました?」


谷先生

「そりゃびっくりするわ!

うちが下に落としたはずの玉子が

跡形も無く消えてるんやし……。

仕掛けを教えてや!」


真智

「嫌です!」


谷先生

「真智様、

そこをなんとかおねげえ~します!」


真智

「そうやって、

どこぞのメッセージアプリの

変顔キャラみたいにリアルに迫られるの、

はっきり言ってウザイんでやめてもらえます?」


谷先生

「グサッ!!」


四葉

「真智ちゃん、ま~ま~」


谷先生

「宙、お前はうちに仕掛け教えてくれるやろ~?」


「仕掛けは無……」

真智

「ゴホン! ゴホン!

あ~、あたし急に頭が痛くなった~」


谷先生

「急にどうした真智?

顔色は全然良さそうだが……」


真智

「はにゃ?


今日はこれで、解散にしませんか?

ゴホンゴホン!」


谷先生

「…………?

なぁ~真智、

お前って……」


真智

「ん? 何ですか谷先生?」


谷先生

「お前ホンマおおちゃきいな~。

学生なのにお前のアソコは黒過ぎる。

ゲスの中のゲスや!」


真智

「グサッ!

先生ひど~!」



谷先生

「いや、待ちや……?

むしろエグいな。

実写版 まっくろコ◯助 や!」


リアル真智 心の中

(ナンデそうなっタァァァァ~!!)


谷先生

「真智は

そんなキモく劇画チックに驚いてどうしたナリか?」


真智

「ナリってちょっと谷先生~!?

それに《まっくろコ◯助》 って……それ、

言葉のチョイスいろいろと間違ってませんかぁぁあ!!?」


真智のイメージ

【カサカサカサ!

ポタ……、ポタ……、

ギョロ!!


まっくろコ◯助

「美◯ちゃん、ごちそうさまナリ~♪」


美◯ちゃん

「…………」】

真智

「実写版 怖っ!!」


谷先生

「お前『月水げすい※』とコンビをくんだらどうや?」


真智

「月水って誰でしたっけ?」


谷先生

月水げすい休一きゅういち や!

自称、素粒子物理学界のカリスマ美容師 を名乗る

マザコン◯ゲ眼鏡!」


真智

「あ~!あたし思い出しました!

確かあの、

素粒子物理学を研究する前に

まず自分の◯ゲ散らかった頭をなんとかしてほしい

あの谷先生の彼氏の 一休さん ですね?」


谷先生

「あんな彼氏や友人うちにはおらんわー!!」


真智

「だってあの人、谷先生のこと えみたん って……」


四葉

「え~?

谷先生に彼氏おった~ん?」


「あたいにもkwsk!!」


真智

「宙 顔近いよぉ~!

頼むからその鼻息と鼻毛

勘弁して~!!」


谷先生

「お前らそうやってうちの話しそらすんやない!!


真智・宙

「へ~い!」


谷先生

「ところで四葉?

この仕掛けうちに教えてくれるな?」


四葉

「…………」


谷先生

「は?

四葉どうしたんや?

何で喋らへんのや?」


真智

「そうだ!!

そうだった、そうだった!

谷先生~、四葉ちゃん実はインフルエンザなんですよ。

だから、みんなに風邪うつさないように……」


谷先生

「さっきまで四葉話してたやないか……」


真智

「それは……」


谷先生

「さては、お前ら……。

うちわかったで。

うちトイレに行って来るからお前らそこで待っとれ」


真智

「あ、谷先生……?」



谷先生

「戻ったで」


真智

「戻るの早かったですね」


谷先生

「お前ら、さっきのうちにもう一回見せてみ?」


真智

「えー!!?

もう一回ですか?」


谷先生

「真智~!

お前なんか嫌そうやな?

問題無いやろ?」


真智

「は、はい。

じゃあ、谷先生。

はい、玉子です」


谷先生

「じゃあ二回目、ほ~れ。


また消えたな……」


真智

「消えましたね、

凄いですね~。

じゃあ、もう外も暗くなりましたし、

そろそろ解散しましょう。

それじゃみんな、ばいば~い♪」


谷先生

「真智、ちょい待ち~!」


真智

「ほにゃ?」


谷先生

「お前らはこの後ろの機械が何かわかるな?」


真智

「ビ、ビデオカメラ……ですか?」


谷先生

「そうや。しかもうちが研究室で使うハイスピードカメラや


ほな再生、ポチっとな」



谷谷谷先先先生生生

『じゃゃゃあああ、


今今今かかかららら



玉玉玉子子子ををを落落落とととすすすでででぇぇぇ~?』


真真真智智智

『いいいいいいでででぇぇぇすすすぅぅぅよよよぉぉお~』


谷谷谷先先先生生生

『そそそらららっっつ!』


谷先生

「ストップ!!


ほらやっぱりや!

お前らこの玉子が地面に当たる0.002秒前

のコマ見てみ!」


真智

「子どもの手みたいですね!

何で玉子のところに手がのびてるのかな?

宙わかる?」


「あたいか?

知らない。

四葉は知ってる?」


四葉

「…………」


谷先生

「コマ進めて地面着地0.001秒前や!」


真智

「あちゃ~」


???

『ゴクンっ!!』



真智・宙・谷先生

「???」


谷先生

「なあ……お前ら?

確かに今……、

肉食恐竜が獲物を丸呑みにした時みないな

不気味で気持ち悪い音……

聞こえたやろ!?」


???

『グウェッ!(げっぷの音)』



真智・宙・谷先生

「………………!!?」


四葉

真智ちゃんごめんね~!

私今、実験の玉子飲み込んじゃったよ~」


真智

「あ! ねえねえ、あたしわかったよ!

さっきの犯人、野生動物さんだったんだよ!

たぶん、カメレオンとかそっち系の」


「そうかぁ~?

あたいは動物って言うより、

野生の植物の仲間だと思うぜ?

食虫植物が近いんじゃねぇか?」


四葉

「みんなもっと真面目に考えよ~!

野生動物や食虫植物が科学部の部室なんかにいる

訳無いよ~!

きっとみんな疲れてるから幻覚を見たんじゃないかな~?」


谷先生

「確かにそうやな。

そうやそうや!

さっきのは見間違い……って、

あれ?

つい今までうちが手にしっかり持ってた

カメラ……どこや!?

真智は知らんか?」


真智

「さ~。

宙知ってる?」


「さ~。

じゃあ、四葉?」


四葉

「これもたぶんみんなの見間みま……」

谷先生・真智・宙

「んな訳あるか~い!!!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る