第27話 サンタ×サンタ2

 After


「……お」

 朝寝坊の私の枕元に置かれたプレゼントに、今年もにっこりする。……まあもう歳だから、朝子がこれを置いたときにはちょっと目が覚めたりしてたんだけど(きっと向こうも同じだろうなあ)。

 でも、すぐには起き上がらずまどろんで、実際もう一回寝てから、今、起き上がってそれを手にする。

「ふふふっ」

 やっぱり、嬉しい。それを抱えて、リビングに一直線だ。

「ありがとう、サンタさん!」

「ふふふ、こちらもありがとう、サンタさん」

 朝子は、私があげたストールを早速肩にかけている。

 うん。朝焼けのピンク色がここまで似合うおばあちゃんなんて、たぶん世界広しと言えど、彼女しか居ない。

「朝から良い日だわ」

「ね」

 クリスマスは、いつだって眩しくて甘くて、私たち二人家族の素敵な記念日なのだ。


 ※※※

 Before


「……ほんとに、ある」

 目が覚めて枕元を見れば、本当にプレゼントが置いてあった。

 サンタさんからのプレゼントなんて、何年ぶりだろう。心が弾む。

 やたら大きな箱を開けてみれば、中から出て来たのは大きなテディベアだった。

 いつか私が「ああいうのって憧れなの」と言ったやつだ。

「覚えててくれたんだ」

 嬉しい。思わずぎゅっとくまさんを抱き締めた。

「わたしのも、喜んで貰えるといいな」

 サイドテーブルに置いてある彼女への贈り物は、革の手袋だ。彼女が憧れていたブランドのものは流石に手が届かなかったけど、似たデザインの、とても暖かそうなものを見付けたので、買ってしまった。

「楽しみだなあ」

 これから、まだ眠っているだろう彼女の枕元にこれを置きに行く。

 ドキドキして、わくわくする。

 誰かのサンタクロースになる夢を諦めず、彼女と暮らす夢も諦めずに居られる。

「神様」

 ありがとう、ありがとうございます。

 この奇跡を、私はいつまでもいつまでも大事に抱えて、大切にして生きていきます。

 だから、神様。


 どうかこの星降るような倖せ日々が、どうかいつまでも続きますように。

 他の人たちにも降り注ぎますように。


 神様。この願いを聞き入れて下さい。




 END.


 ここまでお読みくださり、ありがとうございました!!!

 こちらの連載を、来月の関西コミティアで本にします~

 詳細はX(こちらhttps://kakuyomu.jp/users/cr_jokerの名前の下にリンクあり)にてお知らせ致します~!

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おばあちゃん百合アドベント 飛鳥井 作太 @cr_joker

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