第30話 自分自身との約束

「これから、どう生きていきたい?」

自分に問いかけたとき、答えはまだぼんやりとしている。それでも、少しずつ「自分がどうありたいのか」を考えられるようになってきた。両親の病気や将来への不安を抱えながらも、私は私なりに生き方を模索している。


かつての私は、日々の課題に追われるばかりで、自分の願いや夢を考える余裕がなかった。「まずは目の前の問題を解決することが先」と思い続けていた。でも、ある日ふと気づいたのだ。目の前の問題を乗り越えた後、自分はどうしたいのかを考えていなければ、いつか空っぽになってしまうのではないかと。


そこで、私は自分自身と「約束」をすることにした。約束といっても、それは大げさなものではない。日々の中で、自分を大切にする小さなルールを作ることだ。


1. 無理をしない


一人で全てを背負おうとするのをやめる。必要なときには誰かに頼る。無理をして倒れてしまうより、少しずつ歩むほうが結局は長く続けられることを知ったからだ。


2. 小さな楽しみを見つける


お気に入りの音楽を聴く、好きな景色を見に行く、何かを作ってみる――そんな小さな楽しみを生活に取り入れる。楽しみがあると、不安な日々の中でも心に光が差し込む気がする。


3. 自分を責めない


できなかったことよりも、できたことに目を向ける。完璧を目指すのではなく、「今日はここまでできた」と自分を褒める。そんな小さな積み重ねが、自分を好きになる一歩だ。


この約束は、決して守りきれなくてもいい。守れなかった日は、「また明日からやればいい」と思える柔らかさを持たせるようにしている。それが、私にとっての「無理をしない」ことの一環でもある。


両親と話す中でも、「これからどうしたいか」を少しずつ共有できるようになってきた。「どこに住むのか」「どうやって生活していくのか」という現実的な話もあるけれど、それ以上に、「私はこういう人生を送りたい」という思いを話すことが大切だと思うようになった。


自分自身との約束は、未来を縛るものではない。それはむしろ、未来をより自由にするための指針だ。私はまだ道の途中にいるけれど、この約束を心に刻みながら、自分らしい生き方を見つけていきたいと思う。


「これからどう生きていきたい?」

その問いの答えを探しながら、私は今日も歩いている。自分自身との小さな約束を守りながら、一歩ずつ未来に向かっていく。それが、私の新しい旅の始まりだと信じて。

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