第29話 不完全な自分を愛する
「自分をもっと好きになりたい。」
そう思う瞬間がある。だけど、それは簡単なことではない。弱さを抱え、不安や迷いの中で生きている自分を、どうやって愛せばいいのだろうか。その答えを探しながら、私は少しずつ自分と向き合っている。
私はいつも、自分に足りない部分ばかりに目を向けてきた。もっと頑張らなければ、もっとできるようにならなければと、自分を追い詰めてばかりだった。そんな考え方は、「自分を好きになる」ことからどんどん遠ざかるばかりだった。
でも最近、不完全な自分を少しだけ受け入れることができるようになってきた。それは、ある友人との会話がきっかけだった。
「完璧じゃなくてもいいじゃない?私たち誰だって不完全なんだから。」
友人のその言葉は、私にとって大きな衝撃だった。完璧でなければいけないという考えが、どれだけ私を苦しめていたのか。その瞬間に気づいたのだ。
不完全であることを受け入れるのは簡単ではない。でも、それは「諦める」ということではなく、「そのままの自分を認める」ということだ。たとえば、苦手なことがあれば、それを無理に克服しようとせず、「それでも大丈夫」と自分に言い聞かせる。できない日があれば、「そんな日もある」と許す。
そんな小さな許しの積み重ねが、少しずつ自分への優しさを育ててくれる気がする。
両親の病気や将来の不安に向き合う中で、私は「しっかりしなければ」というプレッシャーを常に感じていた。でも、完璧でなくても両親は私を愛してくれている。それなら、私自身も同じように不完全な自分を愛していいのではないかと思うようになった。
「不完全な自分を愛する」と言っても、それは簡単なことではない。時にはまた自分を責めてしまうこともある。それでも、少しずつ「そのままでいい」と思える時間が増えてきた。
不完全であることは、人間らしさでもある。不完全だからこそ、成長の余地があり、他人と支え合うことができる。そのことを忘れずに、これからも自分を受け入れる旅を続けていきたい。
完璧ではない自分を少しずつ愛しながら、私は今日もまた、新しい一歩を踏み出していこうと思う。その一歩が、不完全な自分にとっての希望の光になるから。
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