第27話 心の中の「休む場所」
最近、ふと気づいたことがある。私は、心が休む場所を持っていなかったのだと。両親の病気、経済的な不安、自分自身の悩み――それらに向き合うことで精一杯で、「少し休もう」と思える時間をどこかで置き去りにしていた。
休むことは「怠けること」だと、どこかで思い込んでいた。両親が頑張っているのに、私だけが休むのは申し訳ない。これ以上、甘えてはいけない――そんな気持ちが頭を支配していた。
でも、その考え方がどれだけ自分を苦しめてきたのか、今になって分かる。心が疲れているときに休まずに走り続けると、体も心もどこかで限界を迎える。頑張ることは大事だけれど、それ以上に「立ち止まること」も必要なのだ。
最近、少しだけ自分のための「休む場所」を作るようにしている。それは物理的な場所でも、心の中の空間でもいい。たとえば、静かな音楽を聞きながら目を閉じる時間。お気に入りの飲み物を用意して、一人でほっとする時間。あるいは、何も考えずに空を眺める時間。
そんな小さな習慣が、少しずつ私の心を軽くしてくれるのを感じている。休むことに罪悪感を持つ必要はない。それどころか、休むことで私はまた、家族を支えたり、前に進む力を得られるのだと思う。
母もまた、いつも「休む暇がない」と言う人だ。家事をして、食事を作り、病気を抱えながらも家族のために動き続けている。そんな母に「たまには休んでね」と言うと、「休んでる時間がもったいない」と笑う。
でも、母にも心の休む場所が必要だと思う。私が少しでも母を支えることで、彼女がその場所を見つけられるようにしてあげたいと思う。それは簡単なことではないけれど、少しずつ手伝えることを増やしていくことで、彼女の負担を軽くできたらいい。
「休む場所」は、人にとってそれぞれ違うものだろう。誰かと話すことが休息になる人もいれば、一人で静かに過ごすことが必要な人もいる。大切なのは、自分にとっての休む場所を知り、それを積極的に作り出すことだ。
私にとっての「休む場所」は、最近では文章を書く時間にもなりつつある。こうして自分の気持ちを言葉にすることで、少しずつ心が整うのを感じる。このエッセイを書くこと自体が、私にとって心を休める行為になっている。
これからも、自分の中に「休む場所」を持ち続けたい。忙しい日々の中でも、その場所を見つけることで、私はもっと自分らしく、そして穏やかに生きられる気がする。
休むことは、前に進むための準備だ。そう思うと、休むこと自体が力強い行動の一つだと感じられる。心の休む場所を大切にしながら、今日もまた、少しずつ進んでいこうと思う。
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