第17話 小さな変化を感じる瞬間
「最近、ちょっと変わったんじゃない?」
友人からそう言われたとき、私は思わず「そうかな?」と笑って答えた。でも、心のどこかで「確かに少し変わったかもしれない」と思っていた。
以前の私は、不安や悩みを一人で抱え込むのが当たり前だった。誰にも頼れず、頼ることを怖がっていた。その結果、日々の生活は心の中で重たくのしかかる荷物を抱えながら進むようなものだった。でも最近、少しずつその荷物を下ろせる瞬間が増えてきたような気がしている。
その変化はとても小さなものだった。例えば、誰かに自分の気持ちを話してみることだったり、福祉サービスに少し頼ってみたり。それが最初はとても大きな勇気を必要とすることだったけれど、一度やってみると、次は少しだけ楽になる。そしてまた、次の一歩を踏み出す力が湧いてくる。
私は「変わりたい」と思いながらも、どこかでそれを諦めていた部分があった。「自分なんて」と思う気持ちが、足を引っ張っていた。でも、あるとき気づいたのだ。変わるために必要なのは、大きな決断や行動ではなく、小さな一歩の積み重ねなのだと。
たとえば、朝に少しだけ窓を開けて外の空気を吸ってみる。散歩に出て季節の変化を感じる。何か小さな成功体験を自分に与えてみる。それがほんの些細なことでも、「自分にもできた」と思えることで、心にほんの少し余裕が生まれる。
変化は劇的に起こるものではない。私にとってそれは、日々の中で積み重ねていく小さな出来事や選択の中にある。そしてその積み重ねが、少しずつ心の風景を変えていくのだと感じている。
「最近、ちょっと変わったんじゃない?」と言われたことは、私にとって嬉しい出来事だった。自分でも気づかなかった変化を、他の誰かが気づいてくれる。そんな瞬間が、未来への希望を感じさせてくれる。
これからも、そんな小さな変化を大切にしていきたい。そしていつか、自分自身が「変わった」と胸を張って言える日が来ることを信じている。そのために、今日もまた、小さな一歩を踏み出してみようと思う。
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