第7話

中学に上がると、僕は部活に入らずフラフラしていた。


と言っても母の負担を減らすために家で洗濯回したり、掃除したり、ご飯作ったりしていた。



母は何度も、

「部活くらいやりなよ」と

言ってくれていたが。


「いい。興味無い。」と返していた。


またこの時期くらいから気持ちを押さえつけるようになっていた。


どうすれば母にとって楽な存在になれるか。

そればかり考えていた。


でも擦り切れ寸前だった。


僕はある日、仕事帰りの母にキスした。


「…男作りたいなら作っていいから。俺が邪魔なら出てくから。千紗にも迷惑だし母さんも気遣うだろうから施設でも入れて。母さんが都合いい時に顔見せてくればいいから。別に恨んだりしないから。好きに生きていいから。」



すると、母に思い切り頬を叩かれた。


「あんたさ、それ、次言ってみな。刺すから。あんた刺してあたしも死ぬから。あたしは、あんたが居れば何もいらないって言い続けてきたよね?今の今もそうなんだけど。ふざけたこと言わないで。」

「……わかった。二度と言わない。…でもさ、覚えといて。俺の考え方は変わらない。俺は母さんが好き。母さんの為に色々したい。だから部活もしてない。そんな事するくらいなら俺は母さんの為に何かしてたい。否定するならしていい。それが気に食わないなら言っていい。でも俺は、それくらい母さんが好き。突き放すなら突き放していい。気持ち悪いなら二度と言わない。拒否されてまで言う理由もない。」



母は背の変わらなくなった僕を抱き寄せた…。


「ありがとう。嬉しいよ。ママが好きなら好きって言えばいいでしょ。抑える理由なんてないから。最近心配だったんだよ?流星、話しなくなったから。でもママの為に家の事してくれてるの知ってるからさ。感謝してるよ?でもしたい事あるならしていいんだよ?」


「ない。俺、母さんの傍にいること以外したい事なんてない。」



僕はもう一度、母にキスした。


「俺と母さんだけの秘密。俺と母さんだけしか知らない。」

「……流星。」


僕は初めて、溢れる想いのまま、母を抱きしめた。


「…母さん、俺と母さんは結婚出来る?」

「…できるよ。」

「よかった。」



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