第6話

学校は正直つまらなかった。

勉強も嫌い。体を動かすことも嫌い。人と関わる事も嫌い。出来ればずっと迷惑のかからない範囲で母の都合のいい子供で居たかった。



寂しい。

悲しい。

辛い。

しんどい。

痛い。

苦しい。


マイナスを抑えて隠して『いい子』でいるからだから、朝目覚めてから夜先に僕が眠るまでそばにいて欲しかった。そして夜中は母の可愛い寝顔を見せて欲しかった。


でもそんな『わがまま』は母の負担になるだけ。


だから上手いこと千紗で吐き出した。



小学校入りたての頃に千紗の携帯の番号を覚えた。

学童の日の前日に千紗に連絡を入れて、翌日の夕方に家にいるかどうかを確認した。


居なければ学童へ。

居れば千紗の家へ。


でもあまりに行かないとバレてしまうし、お金のかかる話にもなるのでバランスを見て千紗と相談しながら行っていた。


大体は千紗の所に行くと、ベッタリくっついていた。片時も離れない。


記憶では保育園の年中の頃かな。

その頃まではずっと千紗に対しても壁を作っていた。


甘えない

話さない

迷惑かけない

泣かない


そういう事を続けて、母の前でも抑制して。

でも僕可愛さに色々話しかけてくれて、お菓子をくれたり、小さなおもちゃをくれたり。


でも僕は…震えていた。

2人きりの時は膝を抱えて部屋の隅にいた。

そうしないと自分を保てなかった。


でもそんな僕に千紗は一度だけ鬼みたいに怒ってくれた。


子供らしくいろ。

甘えていい。

泣いていい。

好きな事言っていい。



僕はその時泣き崩れて過呼吸を起こしていた。

凄く息が苦しかったのを覚えている。


でもそこから少しずつ、


母に出来ないことをできる人


になって言った。



当時、言葉が遅かった。

それでよく定期検査などで母が指摘されていてそれが凄く申し訳なくて僕はその度に母に謝っていた。


ごめんなさい

ありがとう


だけは言えていた。


それで何とか生きていた。




でも千紗に少しずつ心を開いていく中で、


話すことが楽しい


と気付いて、千紗にだけは思いを伝えられるようになっていた。


だから何歳になったとしても千紗は僕の思っている事が手に取るように分かる。

そういう関係性を作ってくれた。








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