小学五年生の僕

 小学五年生になった。


 あれから二年何も変わらない日々を過ごしていた。変わったことと言えば、僕をいじめていた女子生徒達が卒業したことで少しの平和を得ることが出来たことだ。

 後々知ったことだが、僕がいじめられていた理由は、

「いじめっ子達と同学年だった姉のせいだった。」

 どうも、姉が僕をいじめていた女子生徒二人に「いつも一緒にいて気持ち悪い。」と暴言を吐いたらしい。それが気に入らなかった女子生徒達は姉と直接戦う勇気が無かったから代わりに僕にちょっかいをかけていた様だ。

つまり、彼女たちも実質被害者だったのだ。

 僕はその日から無意識のうちに姉を恨むようになっていた。

 そういえば、小学四年生の時にお世話になった担任の先生は給食で出た筍をアレルギーであるのに誤って食べてしまい、緊急搬送されて以来学校に顔を見せることは二度となかった。


 そんなこんなで今の担任は昭和時代を象徴するかのようなおじいちゃん先生になっていた。

 この頃もう一つ変わったことがあった。

それは、姉が卒業したことで給食費無償化・教育費無償化が無くなり、学校集金の日にお金を払うことになったことだ。

今まで払ったことの無かった僕は、集金日に一人だけ列に並ばない事からクラスメイトに「あいつの家貧乏だから払えないんだよ!」とクスクス笑われていた。当時の僕は、自分自身でも何故払っていないのか理由が分からなかったので、クラスメイトの心無い言葉に反論できずに静かに傷ついていた。なので、現在の集金は口座引き落としと聞いて少し今の学生たちを羨ましく思っている。

だからこそ、小学五年生になって皆の様に列に並べる事を少し、いや、かなりうれしく思っていた。


それも長くは続かなかった……。

うちは酒と煙草、キャバクラにお金が解ける家だということを忘れていた。

結局滞納という形になり、僕はまた集金日に列に並べなくなってしまった。

これが原因でクラスメイトが言っていた、「貧乏説」を肯定せざるをえなくなってしまった。

僕は今年も貧乏野郎といじめられることになった。

もしかしたらという希望も打ち砕かれ、僕だけが違うという現実を突きつけられた。

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