第13話

温泉街の中は風も弱く、スキー場ほど吹き付けるような吹雪ではない。


定番の温泉饅頭や銘菓、地酒の小さい瓶、お揃いのストラップ。


吹雪でいつ帰れるか分からないのに、二人とも十分楽しんでいる。



最後に観光案内所で、日帰り温泉の場所を聞きに入った。


ここの温泉街は、日帰り温泉はあるけど15時まで。

15時からは宿泊客だけ。


”こんな天気だから、仲良く泊まって行ったら?、そしたら温泉入れるよ?”

案内所のおばちゃん、気を使っているつもりが結構な爆弾発言。


温泉で休憩してからゆっくり帰ることが出来ないなぁ〜と思っていたら、彼女は温泉の効能を聞いた途端に絶対入りたいと言い出してきかない。



おばちゃんに断って、一旦彼女と外に出る。


『おいおい、おばちゃんに紹介されたら泊まる事になるんだぞ?』


『うん、わかってる。それでも、温泉入りたい』


『本当にわかってる?』


『うん、こう言う事でしょ?』

と言って腕を組んで顔を覗き込んできた。



それを室内から見ていたおばちゃんが出てきて、”話がまとまったら寒いから中で話しなさい”と、強引に引き入れられた。



もう知らん。


『せめて、ご飯の美味しい所にしてね〜』

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