第11話

休憩場所を確保し彼女を休ませる。


彼女が好きだと言っていたミルクティーを自販機で買って席に戻った。



席に着いて彼女に謝った。

『2回目なのに辛い思いをさせてごめんね。』


彼女は首を横に振った。


『よくあそこまで滑ってこれたね。もっと前に休憩したいって言えば良かったのに…』

彼女を褒めてリラックスさせる。

気を良くした彼女の顔が緩む。


『早く上達して、どこにでも一緒に行きたかったから…』

『でも…、また抱きついちゃった!』


(この状況で、良くそんな冗談を言えるなぁ。)


彼女のポジティブさに若干引いたが、そのノリ、嫌いじゃない。



『正確には、抱きつかされたんだけど…』


彼女は少し意地悪に、最後に背負われた事を言っている。


『ゴメン、嫌だったかな…』


『違うの。他の人に見られていたのは恥ずかしかったけど嬉しかった。私を背負ってあれだけ早く滑れるなんて凄いね』

彼女の純粋さが眩しく感じる。



『吹雪の中から早く解放してあげたかったから、頑張っちゃっただけだよ』


『本当?、私を抱きつかせたかったんじゃないの? 』

と言いつつ、チョット言い過ぎたと思ったのか目が泳いでいる。


『しょうがねーなー。吹雪の中に放り出すぞ〜』



『さっき、インフォメーションで確認したら、天気は回復しないみたいだね。ご飯食べて帰ろっか…』


彼女は頷いた。

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