第10話

吹雪が益々強くなり、視界も悪く方角を見失い易くなってきた。



状況の悪化が間違い無く進んでいる。


まだレストハウスまで距離がある。



恥ずかしがる彼女を強引に説得し、背負ってレストハウスに向かって滑り始めた。


彼女は、寒さに耐えながらもしっかり背中にしがみついているが、大分疲れている様だった。



何とかレストハウスまでたどり着き、疲れて自力ではうまく歩けない彼女を抱きかかえながら入り口の階段を上る。


先に避難していた女性スキーヤーが、彼女を背負って来た事を見ていて、”大丈夫ですか?”と心配された。


それに気付いた彼女は、『何とか戻って来れました』と、恥ずかしがりながらも、やっと受け答え出来た感じだった。

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