第7話

覚えが良いのか、前回教えた事は出来ているので、2本目で早速山頂に向かう事にした。


山頂に向かう小さいゴンドラの中は、二人だけのプライベート空間になった。


曇り空の隙間から、所どころ白い山肌に光が差して、幻想的な光景が広がっている。

ゲレンデに流れる音楽が、時々微かに聞こえるだけで、話をしなければ全くの無音状態である。



それまで笑顔が絶えない彼女だったが、外の景色を眺め始めてから何か考え込んでいる様にも見えていた。

背を向けて景色を眺めていた彼女が、徐ろに話し始めた。


前回、抱き合いながら二人で転んだ時から意識してしまったという。


あれから別れるまで恥ずかしくて、面と向かってお礼も言えなかったけど、また会える事が出来ると思うと、今日になるまでもどかしく感じていたし、切ない気持ちで一杯だった。


優しく気遣ってくれて嬉しかったと…



『それって…』


彼女の気持ちに気付いていないふりして、彼女から次の言葉を引き出す言葉。


彼女は景色を眺めてはいるが、視界には外の景色が写っていない。

その後の言葉が続かない様子で長い沈黙が続く。



『スキーから帰っても、また会ってくれますか?』


彼女は、精一杯の告白をしてくれた。

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