第5話

親友夫婦の所に戻り、彼女がかなり上達した事、頑張り過ぎて疲れている事を話した。


今まで元気そうに見えていた彼女は、転んだ後から急に口数が少なくなった。

疲れた様にも見えたので、皆んなで相談しそのまま帰る事になった。

親友の奥さんも心配になって彼女に声をかけたが、疲れただけの様だった。



帰りの車中、親友が彼女に、『スキーがもっと上達したいなら、身体が覚えているうちに、もう一度行った方が良いよ』と話しだした。


彼女も納得した様子で、親友の次の言葉を聞くまでは、もう一度このメンバーで行くと俺は思っていた。


『スキーを教えるのが上手いから、次から二人で行ってくれば?』と。


『そうだ、その方が良い。』と、親友の奥さんが囃し立てる。


元気が無かった彼女も笑顔になった。


口裏合わせしていた事がハッキリ分かるこの猿芝居


(お節介焼きが2人もいれば仕方ないか…)



このスキーに誘われた時に感じた違和感は、俺と彼女を付き合わせる作戦だったようだ。


人の思惑に乗せられるのは腹立たしいが、彼女が乗り気だったし断る理由も無いので渋々行く事にした。

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