第8話 余韻に浸る間も無く
たしかに綾乃は
「まだ終わっちゃ嫌よ……涼ちゃん」
「でも、もう気持ち良すぎて……ぁあ」
「仕方ないわね。じゃ、あなたが腰掛けてみて」
綾乃は対面座位の姿勢で涼介に向き合う。軽くキスをしたら左を向き、亮介を一瞥する。
「見せつけてあげよ? 涼ちゃんとあたしが仲良くしてるところ……」
上から涼介の顔を胸に押し当てながら妖しく舞う綾乃。
「あぁ、綾乃さん……もっと気持ちよくなっちゃい……ました」
「そうだよね……歳上のお姉さんに遊ばれてるんだもんね」
「あ……もう、だめです……もうだめです……あぁ、綾乃……さ……ん……」
「ぁあ、涼ちゃん……あたしもよ……」
ほぼ同時に動きを止め、しがみついたままの二人。
涼介はクレバスから抜け落ち、白く柔らかなつららが追いかける。
ここからは余韻を――。
そんなことが綾乃たちの頭をもたげたのかどうか。綾乃がソファーから立ちあがろうとしたその刹那、夫の亮介にがんじがらめにされて、床のカーペットに押し倒され、動けない。
「綾乃! お前は俺の女、忘れんなよ! 愛してる! 俺が一番愛してるから! 誰にも絶対負けないんだ!」
人前で泣きたくないというのが男心だとしたら、この時の亮介はそれをどこかに置き忘れていたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます