第6話 謎解き2

「【隠した。目印は君が持っている】の【目印】は、花の栞のことじゃないかしら」

それは、俺も一度考えた。

咲からもらったものはこれしかないからだ。

だが、これが目印だとして、そこから何か推理できるのか。 

「俺が咲から貰ったものは、これしかない」

「だから俺もそう考えたさ」

「でも、目印が栞だと考えても、このメッセージがもつ意味は解読できないだろ」

「この栞自体が何かメッセージになっていると言いたいのか?」

「いいえ、栞自体に何か意味があるとは思わないわ」

「ただ、花というのが鍵なのよ」

「花はある程度の期間咲き、そして野生化して長期間、咲き続ける種類もあるわ」

「つまり、【隠した。】物の目印として、この花を公園に植えたんじゃないかしら」

「地面に何かを埋めて、その上に目印の花を植えたとかね」

俺が驚きの表情をしていると、悠平が言葉を発した。

「なあ、創。推理に水を挿して悪いんだが、なんで花を目印にしたんだ?看板のように目立つものにすればよくないか?」

「それだとダメなんだ。看板の様な目印は俺以外にも隠したものの存在が分かってしまう」

「なるほどね!公園だと、管理人、俺達以外の子供、色々な人の目に触れるな」

「気づいた誰かに、隠し物を取られてしまうかもしれないな」

読野の推理には納得できるが、一点だけ気になることがある。

「なぁ、雪上!マーガレットは日本原産の花ではないって言ってたよな?公園に放置していても咲くのか?」

「残念ながら、咲ないですね!」

「そうか、だったら読野の推理は違うのか…」

「いえ、咲いてるかもしれないですね!」

「えっ、さっき咲かないって…」

「私たちが住んでいる、南房総市は例外ですよ!」

「一年間温暖な気候なので、花の栽培で有名なんです!」

「今はあまり見かけないですが、昔はマーガレット畑が広がっていましたよ!」

「じゃあ、今も公園に咲いているかもしれないのか?」

「はい、可能性はあります」

今までで一番納得のいく推理かもしれない。


「創!さそっく公園に行って、その隠し物を探そうぜ!」

 読野が焦って部室の外に出ようとする悠平を引き留めた。

「悠平君、待ちなさい。まだ仮説の段階よ」

「議論して結論が出てから、公園に行った方がいいわ」

「それにまだ、謎は残っているわ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る