第42話 パーソナリティ7
「いや~♪ 今日も飲んじまってな!気分がいいから、リスナーと話がしたくなっちまったわ!」
『ペンネーム/ゆーり いつでも話聞きますよ!』
『ペンネーム/動物好きちゃん こういう雑談もいいっちゃ♪』
『ペンネーム/魔女っ子 お酒飲むと気分よくなるよね♪』
『ペンネーム/ふぃあっち 呼んで頂ければ、私がお注ぎしますよ!』
『ペンネーム/ろーど 我が付き合おうではないか!いや!むしろ酒を口移しで飲ませてやろう!』
・・・・・・・
・・・・・・・
雑談放送なのに、あっという間に凄まじい勢いでお便りが届く。
またあぶねぇお便りもあるが、それはスルーだ。
「ハハッ!俺はな。こうやってリスナー達と一緒に話すのが何よりも嬉しいんだ。・・・・・そして更に嬉しい事があった!それじゃ、読み上げるぞ!」
僕は一つのお便りを読み上げる。
『ペンネーム/りゅう君 ゴースト様。この間お便りを出したりゅうです。ずっと想いを寄せていた幼馴染に、勇気を出してやっと告白が出来ました。これもゴースト様とリスナーのおかげです。ありがとうございました。結果は付き合える事が出来ました!!!』
「うぉぉぉぉぉ! やったな!りゅう君!!! おめでとうだ!!!」
『ペンネーム/ゆーり おめでとうございます!』
『ペンネーム/動物好きちゃん やったっちゃ!!!』
『ペンネーム/ち~ちゃん やったぁ!!!』
『ペンネーム/ふぃあっち やりましたね!』
『ペンネーム/ろーど おぉ!これは国をあげてお祝いせねば!!!』
・・・・・・・
・・・・・・・
リスナー達もめっちゃ喜んでいる。
やっぱりいいよね。
こういう一体感。
「りゅう君!リスナー達も祝福してくれているぞ!自分を『信じ』たんだな!よくやった!俺も幼馴染と聞いていたから成功する可能性は高いとは思っていたが、ちょっとは心配してたんだぜ?」
するとお便りが届く。
『今度、一緒に飲みたいです!』
「ハハッ!そうだな!気のすむまで話を聞いてやると言ったのは俺だ。・・・・・よし!それじゃ、機会があったら一緒に飲もうぜ!!!多分近い内にあるからさ!」
『ペンネーム/ゆーり 私も一緒に飲みたいです!』
『ペンネーム/動物好きちゃん 飲みたいっちゃ!』
『ペンネーム/ふぃあっち 私も行きます!』
『ペンネーム/ろーど 我が酌をしようではないか!』
・・・・・・・
・・・・・・・
「ワリィな!こういうのは、一対一のサシで飲むのがいいんだ。それでな・・・・・・。」
りゅう君にお祝いの言葉を言った後は、いつもの様に日々のあったことをリスナーに話す。
まるで友達や恋人の様に。
そしてある程度話し終わると、リスナー達に伝えないといけないお知らせをする。
「さて。そろそろ終わりにしようと思うが、今日はな。実はリスナーの皆にお知らせがあるんだ!」
何なのかのお便りが次々に送られてくる。
僕はそれを見ながら続ける。
「俺はな。前からリスナーと何か『絆の証』になる様な物が作りたいと思っていたんだ。」
そう言うと、一度【マスターキューブ】の前から離れて、新しい帽子に取り替える。
再び【マスターキューブ】の前に座ると、ニヤリと笑って問いかける。
「どうだ?」
真っ黒なキャップ。そして薄く発光している白の『G』マーク。
『ペンネーム/ゆーり 凄い!カッコイイですっっ!!!』
『ペンネーム/動物好きちゃん カッコイイっちゃ!!!』
『ペンネーム/天使 前より全然いいな。』
『ペンネーム/ふぃあっち 素敵です!』
『ペンネーム/ろーど 光ってる!!!光ってるぞっっ!!!』
・・・・・・・
・・・・・・・
よし。
反応は上々だ。
そのままテーブルの上に、白と青と赤、三色のキャップを並べた。
「・・・・・一ヶ月後にこの帽子を・・・・・グッズ販売をしようと思っている!リスナー専用の帽子だ!両サイドに『G』マークがあって、これも発光する。・・・・・どうだ?」
『ペンネーム/りゅう君 えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!』
『ペンネーム/動物好きちゃん えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!』
『ペンネーム/ふぃあっち えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!』
『ペンネーム/ろーど えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!』
・・・・・・・
・・・・・・・
更に続ける。
「更にだ!初日は俺も来る!だから折角リスナーと会えるからな!俺の前に並んだリスナーは先着100名に握手会もする!!!」
『ペンネーム/くっきー えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!』
『ペンネーム/ふぃあっち えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!』
『ペンネーム/みどり えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!』
『ペンネーム/ろーど えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!』
・・・・・・・
・・・・・・・
見事に送られてくるお便りが全てリンクした。
笑いながら続ける。
「ハハッ!いいか。よく聞いてくれ!・・・・・期間は三ヶ月!場所は『アーツ帝国』にある街『ログナット』で販売する!一人一点のみだ!金額は・・・・・・・えっ?」
レインがさっと出した紙を見て動揺する。
「・・・・・ワリィな!ちっと忘れててな!・・・・・金額は、15才以下が5万ゴールド。16才以上は20万ゴールドだ!!!」
帽子一個でこの金額は高すぎだろ!
前世ならPCが買えるわ!
思わず心の中でツッコムが、レインに一任しているので何も言えない。
『ペンネーム/ゆーり それは安すぎです!!!』
『ペンネーム/動物好きちゃん 十倍でも買うっちゃ!!!』
『ペンネーム/ふぃあっち 百倍でも買います!』
『ペンネーム/ろーど 全部我の物にしたい!!!』
・・・・・・・
・・・・・・・
安いんだ。
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「よし。今日も好評だったな。」
立ち上がって帽子とコートを脱いで壁を見ると、いつもの様に奇声を上げながら転がっている仲間達。
とりあえずスルーして階段をあがろうとすると、違和感に気づいて再度仲間達を見る。
「・・・・・何やってんの?」
クロックさんとサスケが一緒に転がっていた。
「失礼しました。丁度、雑談放送に間に合ったので、一緒に見ておりました。」
地下に下りた時に【ホール】を使って帰って来たクロックさんとサスケは、そのまま雑談放送を見ていたらしい。
久しぶりに帰って来たクロックさんは、ちーちゃんを抱きしめながら僕に言う。
「ヒカリ様。理想の土地がやっと見つかりまして。それで、交渉の為お願いに来ました。」
聞く所によると、その土地を提供するのなら、【ゴースト】を連れてこいとの事だ。
「すみません。私が至らないばかりに、ヒカリ様にご足労をかけてしまう事になるとは。」
「いや、それはいいんだよ。本当に探してくれてありがとう。・・・・・ただなぁ~。」
クロックさんが探してくれた土地の所有者が、何と古参リスナーの【ろーど】らしい。
あのリスナーは、かなりあぶねぇお便りをよく出してくる危険リスナーの一人だ。
まぁ、そこまで夢中になってくれるのはいい事なんだが。
せっかくクロックさんが探してくれたのに、僕が何もしないのは流石にナンセンスだろう。
落ち込んでいるクロックさんの肩を触る。
「クロックさん。マジで嬉しいよ!ありがとう!後は僕の仕事さ。それじゃ、明日行こうか。」
「ヒカリ様!・・・・・分かりました。それでは明日、行きましょう。」
レインとジェミも頷いている。
行く気満々だ。
久しぶりに全員揃ったので、居間でお茶を飲みながら会話を楽しんだ後、クロックさんとちーちゃんには一緒に寝てもらい、今日は仕方がないのでジェミと一緒に寝た。
レインが影から出て、ジト目で一晩中目を光らせていたのが怖かった。
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
この日。
グッズ販売をすると言った瞬間。
世界中の街で叫び声がこだましたのをヒカリは知らない。
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