第3話

積もる雪に今までの足跡を隠される

また、こんな季節だ清算の時期

降り積もる後悔を藁葺き屋根から降ろさなきゃ

簡単に潰れてしまう

誰かにこの重さを押し付けられればどれだけ楽になる?

押し付ける代わりも居ない癖にと雪が冷たく笑う

足をもつれさせながら雪を踏み付ける姿はさながら人生の遭難者

あなたのくれた小さなガス灯はとっくに余熱だけになってしまった

これじゃあもう冬を越せないな

その自嘲を笑うかのように吹雪く

さっきまでの足跡も消えてしまった


積もる雪が綺麗だと最後に感じたのはいつだ?

そんな物は叶えられなかった夢の堆積物だろ?

また、こんな自問自答

そんな暇はないだろと雪は積もる、僕の道を阻みやがる

埋もれちまった一片の希望を探してさまよっているだけなのに

あなたを見つけるためのプローブもへしゃげてしまった

これじゃあもうあなたを探せないな

僕の旅を風が笑った

意味を見失ってしまった


体が真白に染まり熱を奪われる

心さえ早くに凍ってしまえばこんなことにならなかったのに

絶望に埋まっても後悔は降り積もる

でもそれも悪くないと冷たさに身を委ねる

それでもあの暖かさが恋しくなる

得てしまったあの炎が心のすみに燻っている

欲しいと思ってしまった

星を見つけてしまった

導くものも、探す術すらないけれど

雪に吹かれて進まなきゃ

潰される前にもう一度

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夜の独り言 @fallblue

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ