第2話
優しい人になりなさい
人の心が分かる人になりなさい
子供の頃に言われた謳い文句
そうなれるように頑張って生きてきたつもりだ
でも、周りの人はみんなそんな事を考えて生きている様には見えないんだ
陰口、SNS至る所に散乱している人の悪意
僕の視界にはもうそんな物しか入らなくなってしまったよ
僕は間違えたのかな、生き方を、歩き方を
今や人と繋がるために必要なのは悪意を用いた共感だ
それが無ければ誰とも同じ空気を吸えない
こんな窮屈な世界なら早くに言ってくれればよかった
でも、そんな事は教えないよね
希望がないなんてことは
僕はそれでも生きていくよ、自分が正しい人間ではないとしても自分の心に傷をつけながら
そんな僕に名前を付けよう
優しい人になりたかった
でも、僕はそんな真性の善人じゃなかったんだ
努力もした、色んなところが傷だらけになった
その果てに見つけたのは自分の中にある救いようのない浅ましさ
彼らと同じの悪意だけだ、自分本位の醜い姿
僕の鏡には何時しかそんな化け物の姿が写るようになったんだ
僕は間違えたんだ、生き方を、もがき方を
今や僕の心は癒えない傷だらけになってしまった
この傷跡だけが僕の誇れるものだ
これがなければ僕はただの獣に成り果てる
こうなったのはどうしてだろうな
僕はそれでも生きていけるかな、汚く厭わしいゴミ屑になっても心に傷を残しながら
そんな僕に似合う名前あるだろか
どれだけ時が経ったとしても、僕の傷からは血が溢れてくるんだ
だから僕は涙を真似た鉄錆で傷を塞ぐよ
そうすれば少しの気休めにはなると思うから
貴女が言ってくれたように僕はもう生きてはいけない
知ってしまったから、なってしまったから、終わってしまったから
それでも僕は自分を切って傷付けるよ、自己満足でしたいように、誰かを助けるために
こんな血塗れの醜い僕が
ハートカッターだ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます