第14話 未来への新たな地図
メンバー間での対話を経て、沙也加たちは「未来のハーレム計画」の本質を再確認することができた。「結果ではなく過程を大切にする」。その共通認識のもと、新たな活動が動き出そうとしていた。
新しい挑戦の始まり
次回のワークショップテーマは「つながりの地図」に決まった。
「参加者が、自分と他者とのつながりを視覚化するようなワークをやりたいんだ」
沙也加は意気込んでメンバーたちに提案した。
「例えば、参加者がそれぞれの文化や価値観を書き込んで、それを繋げていく。最終的に、みんなで一つの地図を作り上げるイメージかな」
「いいね!ただ話すだけじゃなくて、視覚的に成果が見えるし、つながりを実感できそう」
ラミーが興味深そうに頷く。
「それに、対話の結果が形に残るのも面白い。次回のテーマにぴったりだね」
拓哉も賛成した。
ワークショップの準備
ワークショップで使う「つながりの地図」は、オンラインで参加者が書き込みながら共同で作れるツールを活用することになった。ウィリアムがプラットフォームの技術面を担当し、美奈がデザインを手掛ける。
「このツールなら、誰でも簡単に参加できるし、後から全体を振り返るのも楽しそうだね」
美奈が試作したデザインを見せると、沙也加は思わず声を上げた。
「すごい!これなら参加者がどんどん書き込みたくなりそう」
ツールの中央には「未来のハーレム」というタイトルが置かれ、そこから線が放射状に伸びていく構造になっていた。それぞれの線には、参加者が自由に言葉やイラストを加えられるよう工夫されている。
ワークショップ当日
「つながりの地図」ワークショップには、前回よりも多くの参加者が集まった。オンライン画面には笑顔で挨拶を交わす顔が並び、画面越しにも温かな雰囲気が伝わってくる。
沙也加がオープニングスピーチを始めた。
「皆さん、今日は『つながりの地図』というテーマで一緒に楽しみたいと思います。この地図は、皆さん一人一人の価値観や思いを繋げていくものです。どんなことでも構いません。自分が大切にしているものや、他の人と共感できたことを自由に書き込んでください」
対話からつながりへ
参加者たちは二人一組になり、まずは「自分が他の人と共有したい価値観」を語り合った。
「私は、家族の絆を大切にしています。毎週末、家族で集まる時間を作るのが私たちの習慣なんです」
「私も家族との時間を大事にしてます。でも、最近は忙しくてあまり会えなくて……」
その対話を経て、参加者たちはそれぞれのつながりを地図に書き込み始めた。
「家族」「友情」「時間」「思いやり」──。
地図は少しずつ広がり、参加者同士が交差する瞬間が生まれ始めた。
「この『思いやり』って、私も共感できます。私も書いていいですか?」
「もちろん!どんどん繋げていきましょう」
画面上の地図は、色とりどりの言葉やイラストで賑わい始めた。それは、まるで人々の心が一つの大きなネットワークで繋がっていく様子を表しているようだった。
完成した地図の前で
ワークショップの最後、全員で完成した地図を眺める時間が設けられた。画面には無数の線と言葉が交差し、美しい模様を描いていた。
「この地図を見ていると、自分がどれだけ多くの人と繋がっているかを実感しますね」
一人の参加者が感想を述べると、他の参加者たちも頷いた。
「普段、自分の価値観や思いを他の人と共有する機会ってなかなかないけど、こうやって繋がると安心します」
「私たちは違うけれど、それがいいんですね。違うからこそ、こんなに素敵な地図ができたんだと思います」
その言葉に、沙也加の目が潤んだ。未来のハーレムの一端が形になった気がした。
未来への希望
ワークショップ終了後、メンバーたちは完成した地図のデータを保存し、それを見ながら次の計画を話し合った。
「この地図を基にした展示会を開くのも面白そうだね。もっと多くの人に、このつながりを見てもらいたい」
拓哉が提案すると、美奈も賛成した。
「地図のデザインをもっと拡張して、次回はさらに多くの人に参加してもらえる仕組みを考えたいな」
手帳に記された新たな思い
その夜、沙也加は手帳にこう記した。
「違いを楽しむ対話が、つながりの地図を描く。未来のハーレムは、こんな風に一つ一つのつながりを紡いでいく場所になるはず」
活動は小さな一歩ずつだが、確実に未来の希望を描いていた。物語は、つながりを軸にさらに広がっていく──。
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