第12話 未来を照らす小さな光
「未来のハーレム計画」がオンライン化という新たな形で動き始めてから数週間。小規模なオンラインワークショップは予想以上の反響を呼び、参加者が少しずつ増えていた。沙也加たちは「質を高める」という方針のもと、活動の一つ一つを丁寧に進めていた。
新しいテーマの提案
次のオンラインワークショップに向けた会議で、ウィリアムが新しいテーマを提案した。
「次回のテーマは『対話の力』にしたいんだ。文化や背景が違う人たちが、どうやってお互いを理解し合えるのか、その方法を探るワークショップを作りたい」
「対話か……。確かに、これまでの活動でも対話がすごく大事だって実感したよね」
沙也加は頷いた。
「ただ、お互いに話すだけじゃなくて、対話をどう深めるかを考えるのも面白そう」
美奈も賛成する。
「それなら、参加者が実際に対話を体験できるようなプログラムを組もうよ」
ラミーが提案し、アイデアが次々と浮かび上がった。
ワークショップの準備
新しいテーマが決まり、メンバーたちは準備に奔走した。
• 対話のワーク
拓哉は、参加者が二人一組で「自分の価値観」について語り合うセッションを企画した。話し合いの中で、「違い」を見つけながらも共感できるポイントを探ることが目的だ。
• ストーリーテリング
美奈は、参加者が自分の人生で大切にしているエピソードを語るコーナーを提案。絵や写真を使いながら、視覚的にも対話を深める工夫を凝らした。
• フィードバックセッション
ウィリアムは、最後に全員で感想を共有し、「対話を通じて何を得たか」を考える時間を設けることを提案した。
沙也加はこれらを統合しながら、「対話」をテーマにしたワークショップを形にしていった。
ワークショップ当日
当日、オンラインの画面には様々な背景を持つ人々が集まった。留学生や日本在住の外国人、さらには日本各地から参加した学生や社会人。参加者たちは初対面ながらも、和やかな雰囲気でワークショップが始まった。
セッション1:「私の価値観」
参加者たちは二人一組になり、「自分が大切にしているもの」について語り合った。
「私は、時間をすごく大事にしています。忙しい毎日の中で、家族と過ごす時間が一番の癒しなんです」
「私は逆に、自由な時間が好きです。一人で過ごす時間がないとリセットできなくて」
対話を通じて、お互いの違いを知ることで、参加者たちは共感だけでなく「違いを楽しむ」感覚を覚え始めていた。
セッション2:「ストーリーテリング」
次に、参加者は自分のエピソードを語り、それを絵や写真を通じて表現するセッションが行われた。
一人の参加者が、写真を画面に映しながら語る。
「これは、私の地元の伝統行事です。祖父母が毎年準備していて、子供の頃からその風景を見るたびに、家族の大切さを感じます」
別の参加者は、自分が作った絵を見せながらこう語った。
「これは、私が子供の頃によく遊んでいた公園を描きました。私にとって大切なのは、自分が育った場所と、その記憶です」
視覚的な表現を交えた対話に、参加者同士が深く共感し合う瞬間が生まれていた。
セッション3:「フィードバック」
最後に、参加者全員が感想を共有する時間が設けられた。
「最初は緊張していたけど、話すうちに自然と心が開いていくのを感じました」
「自分と違う価値観を知るのは刺激的でした。それが悪いことではなく、むしろ面白いことなんだと気づけました」
「対話って、相手を知るだけじゃなく、自分を知るきっかけにもなるんですね」
沙也加は参加者たちの言葉を聞きながら、胸がいっぱいになるのを感じた。
「これが、未来のハーレムの一つの形かもしれない」
活動の広がり
ワークショップの成功を受けて、参加者たちからは次回開催を希望する声が多く寄せられた。
「これを定期的にやっていければ、もっと多くの人と繋がれるよね」
ラミーがそう言うと、拓哉も笑顔で答えた。
「次回はテーマを変えて、さらに深い対話を目指したいな」
手帳に記された一言
その夜、沙也加は手帳にこう記した。
「対話の力は、未来のハーレムを形にする鍵になる。小さな一歩を積み重ねながら、もっと広い世界へと繋げていこう」
オンラインの小さな空間から広がる未来のハーレム。物語は新しい可能性を探りながら、さらに深く進んでいく──。
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