第11話 継続の難しさ
新しい方向性で開催されたイベント「私たちのハーレム—共に学ぶ空間」は、参加者の心に深く刻まれた。多くの人が交流を通じて新たな発見を得た一方で、沙也加とメンバーたちは継続の難しさに直面し始めていた。
次の一歩を考える会議
イベント終了から数日後、沙也加たちは次回の活動について話し合うため、再び会議室に集まった。
「今回のイベントは確かに成功だったけど、これからどう進めるかが重要だよね」
拓哉が切り出す。
「継続していくためには、もっと安定した資金が必要だと思います。地域からの支援やスポンサー探しはどうなっていますか?」
美奈が心配そうに問いかける。
沙也加は深く息を吸い、答えた。
「地元の商店街や教育団体に協力をお願いしてるけど、まだ確実な返事はもらえていないんだ。私たちがどこまで信頼してもらえるかが課題だね」
「それと、イベントの規模を広げるより、今は小さくても質を高める方がいいかもしれない。次回はもっと具体的なテーマを設定して、参加者がさらに深く考えられるような形にするのはどうかな?」
ラミーが提案する。
「確かに、一つ一つの活動に集中していくのも大事かもね」
沙也加は頷いた。
信頼を得るための行動
その日の夜、沙也加は一人で地元商店街を訪れていた。フェスティバルで協力してくれた店舗に直接足を運び、改めて感謝を伝えるためだ。
「あの時のイベント、とても楽しかったですよ」
出店していた和菓子屋の店主が笑顔で迎えてくれた。
「ありがとうございます!また何か一緒にできたら嬉しいです」
沙也加が頭を下げると、店主は少し考え込んだように言った。
「でもね、若い人たちがこういう活動を続けるのは本当に大変だと思う。熱意だけで動けるのは最初だけだから。何か安定した仕組みを考えないと、途中で潰れちゃうよ」
その言葉は、沙也加にとって痛烈だった。確かに、現在の活動はメンバーの情熱に頼る部分が大きい。それがいつまで持続できるのかという不安が、心の奥にあった。
メンバー間の葛藤
翌週のミーティングでは、継続についてさらに議論が深まった。
「正直に言うと、今のペースで活動を続けるのは厳しいよ」
拓哉が慎重に言葉を選びながら話す。
「私も感じてた。学業や他の活動との両立が難しくなってきてるし、メンバー全員が同じペースで関わるのは無理があるのかも」
美奈も少し疲れた表情で続けた。
沙也加は思わず目を伏せた。自分だけがこの活動に夢中になっていて、他のメンバーに負担をかけているのではないかという不安が胸をよぎる。
「でも、だからこそ続ける方法を一緒に考えたいんだ」
ウィリアムが口を挟む。「僕たち全員が全力で関わらなくても、できる範囲で貢献する方法を見つければいい。全員が同じ役割を果たす必要はないと思うよ」
その言葉に、沙也加はハッとした。続けるためには、活動の形そのものを柔軟に変える必要があるのかもしれない。
新たな計画の始動
話し合いの結果、「未来のハーレム計画」は以下のように方向転換することになった。
1. 役割分担の明確化
• 全員が関わりやすいように、活動を小さなタスクに分ける。
2. 規模の縮小と質の向上
• 大規模イベントよりも、小さくてもテーマ性の強い活動を優先する。
3. オンライン化の導入
• オンラインでの交流やワークショップを取り入れ、参加者の負担を軽減する。
4. 資金調達の多様化
• クラウドファンディングや寄付プログラムを活用し、継続的な資金を集める。
新たな挑戦の第一歩
方向転換を決めた数日後、沙也加たちは「小規模オンラインワークショップ」の試験的な開催を行った。テーマは「私たちの文化と日常」。参加者たちは、自分の生活や価値観について語り合い、共感や発見を共有した。
「オンラインでも、意外と深い交流ができるんだね」
美奈が感心したように言う。
「これなら、忙しい人でも参加しやすいし、世界中の人を巻き込むこともできそうだ」
拓哉も希望を見出したようだった。
手帳に記された新たな決意
その夜、沙也加は再び手帳を開き、書き込んだ。
「未来のハーレム計画は形を変えながら続いていく。柔軟さを持ちながら、私たちの目指す空間を少しずつ築いていこう」
活動の形は変わっても、目指す理想は変わらない。沙也加の心には、新たな希望が灯っていた。
物語は、新しいステージへと進み始めた。困難を乗り越えながら、未来のハーレムを築く旅は続いていく──。
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