第7話 新しい仲間たち

イベントの成功を経て、沙也加の「未来のハーレム計画」は小さな注目を集め始めていた。ワークショップやイベントを通じて、少しずつだが関心を持つ人が増えてきた。


その日、沙也加は大学のメールボックスに届いたメッセージを確認していた。そこには見知らぬ名前のメールが数通並んでいた。


「イベントに参加して感動しました。ぜひ次回も手伝いたいです!」

「文化交流に興味があります。活動に加わりたいのですが、可能ですか?」


沙也加の胸は高鳴った。たった一回のイベントでこれだけの反響があるとは思わなかった。すぐに返信し、次回のミーティングに来てもらうことにした。


その週末、集まった新しいメンバーたちは、全員が異なる背景や個性を持っていた。

• 川原拓哉:経済学部に通う3年生で、イベント運営に興味があると言う。論理的で計画的な性格が頼りになりそうだ。

• 中島美奈:アート専攻の学生で、異文化をテーマにした作品を制作している。柔らかな物腰と感受性の豊かさが印象的だった。

• ウィリアム・サンダース:交換留学生でアメリカ出身。多文化主義についての論文を書いており、実践的な活動を求めているとのこと。


沙也加は彼らに笑顔で話しかけた。


「今日は集まってくれてありがとう!『未来のハーレム計画』はまだ始まったばかりだけど、みんなでアイデアを出し合いながら形にしていけたらと思います。まずは、みんながどんなことをしたいのか聞かせてほしいな」


新メンバーたちはそれぞれの思いを語り出した。


「僕は、もっと地域の人たちも巻き込む形にしたいです。学生だけじゃなくて、地元の文化とコラボできれば、もっと多くの人に興味を持ってもらえるはずです」(拓哉)


「私はアートを通じて、言葉が通じなくても気持ちが伝わるような場を作りたいです。言葉よりも感覚で繋がれる活動がしたい」(美奈)


「僕は、多文化主義の考え方を広めたいです。特に日本では、まだまだ違いを受け入れることに抵抗がある部分が多いと感じるので、それを変えるきっかけを作りたい」(ウィリアム)


彼らの熱意に、沙也加は感動した。


次回の活動は、新しいメンバーたちのアイデアを取り入れたものにすることが決まった。会議の後、沙也加はラミーや絵里と共に計画の具体化に取りかかった。


「拓哉くんの地域とのコラボっていい案だね。地域の人たちが参加できるイベントなら、私たちの活動ももっと広がると思う」(絵里)


「そうだね。例えば、地域の飲食店と提携して、多文化料理の試食会なんてどうだろう?」(ラミー)


「いいね!それに、美奈ちゃんのアートも取り入れた展示会を同時開催できれば、より魅力的なイベントになると思う」(沙也加)


話し合いの結果、「多文化と地域を繋ぐフェスティバル」をテーマにしたイベントを企画することになった。


イベント準備は順調に進み、新しいメンバーたちもそれぞれの特技を活かして活躍していた。拓哉は地元の商店街と交渉し、フェスティバルでブースを出す協力を取り付けた。美奈はアート展示の準備を進め、ウィリアムは海外の文化を紹介するプレゼンテーションを企画していた。


その日の夜、沙也加はふと手帳を開き、これまでの歩みを振り返った。


「少しずつだけど、確実に仲間が増えてきている。この計画が、誰かにとって新しい『窓』になるなら、それが私の目指す未来のハーレムだ」


未来への確かな希望を胸に、沙也加の旅はまた一歩進んでいく。

新しい仲間たちと共に、ハーレムという言葉の本当の意味を、現代の中で探し続けながら。

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