第4話 村の改善と新たな挑戦
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村の広場に村人たちが集まり、ワイは村の今後について真剣に話し始めた。
「さて、まず最初に確認したいことがあるんやけど、この村、家が木でできてるやろ。これ、魔物が攻めてきたらすぐに壊れそうやないか?」
村長が頷きながら答える。
「その通りです。木造の家では守りきれません。強固な壁が必要ですが、資材も限られており……」
「せやけど、ワイが知ってる限りじゃ、石や煉瓦が使えるはずや。どうや?」
村人の一人が答えた。
「石なら、森の外れで見つけることができます。しかし、煉瓦を作る技術はありません……」
「よし、まずは石を集めることから始めようや。」
ワイの指示で、村人たちは数班に分かれ、石を集めるチームと木材を使って簡易的な防壁を作るチームに分かれて作業を始めた。
「妖精様、このようなことを思いつくとは、本当に賢いお方です!」 「いやいや、そんな大層なことじゃないで。それより、しっかり作業に集中してくれや。」
村全体が活気づく中、ワイは少し離れた場所で作業を進めている村人たちを見守りながら、ふと自分の毛が光る性質を思い出した。
「そういや、毛に何か使えることがあったような……」
ワイは自分の毛を少し引っ張ってみると、案外簡単に抜けた。手に取ってみると、毛がわずかに光を帯び、弾力と強度があることに気づく。
「これ、意外に使えるんちゃうか?」
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妖精毛でロープを作る
ワイは早速、村人たちに自分の毛を材料にしてロープを作ることを提案した。村の女性たちは驚きつつも、その毛を編み込み始め、丈夫なロープが出来上がった。
「妖精様、このロープ、信じられないくらい強いです!」 「ほんまか?じゃあ、それを使って、もっといろんなものが作れるな。」
そのロープはすぐに村の建設作業や、道具の補強に役立ち、さらには魔物が村に侵入しないように罠を作る材料としても使用された。これによって、村を守るための一つの武器が完成したと言えるだろう。
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新たな来訪者
村の防壁作りが順調に進んでいたある日、村の外れから一人の人物が現れた。ワイはその人物に気づくと、すぐに目を凝らして言った。
「誰や、あんた?」
その人物は、金髪で軽装の鎧を着た若い女性だった。剣を腰に帯びていて、目つきは鋭く、どこか精悍な印象を与える。
「ここに人間がいるなんて……!」
女性はワイを見た瞬間、驚愕の表情を浮かべた。目を大きく見開き、しばらくその場に立ちすくんだ。
ワイはその反応を見て、少し困惑しながら問いかける。
「なんや、そんなに驚いてどうしたんや?」
「お、お前……その姿……」
フィオナは呆然とした様子でワイを見上げ、その目は完全に驚きでいっぱいだった。目の前にいるのは、まさに毛むくじゃらの生き物であり、その姿はまるで伝説の妖精か何かのようだった。
「お前……人間じゃないのか……?」
しばらく沈黙が流れた後、フィオナはやっと言葉を絞り出す。彼女の目には不安と驚きが混じっている。
ワイは少し照れたように肩をすくめ、答える。
「人間やけど、毛むくじゃらでな、そんなん気にすんな。」
その言葉に、フィオナは目を大きく見開いたまま言葉を失った。彼女は今まで見たこともない姿の者と出会い、完全に圧倒されていた。
「でも……あなた、妖精なのか?」
「いやいや、妖精でもなんでもないわ。ただの毛むくじゃらや。」
村人たちが集まり、フィオナの反応を見てざわつき始める。
「妖精様、やっぱり……!?」
「ちょっと待ってくれ!ワイは妖精じゃない!」
ワイはすぐに訂正したが、村人たちの興奮は収まらなかった。フィオナは驚きの表情のままで、その姿をじっと見つめていた。
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協力の申し出
フィオナはようやく冷静さを取り戻し、村を見渡すと、微笑みながら話し始めた。
「すごい……こんな小さな村で魔物と戦っているなんて、本当に驚きだわ。でも、もっと効率よく村を守る方法があるわよ。」
ワイが興味を示し、尋ねる。
「ほう、効率よく守る方法って、どういうことや?」
フィオナは地図を取り出し、指で村周辺をなぞった。
「実は、この森の奥に古代の遺跡があるの。その中には、強力な結界を張るための魔法の石が眠っていると言われているわ。それを使えば、この村全体を守る結界を作ることができる。」
「なるほどな。それなら、その遺跡に行くのはどうするんや?」
「残念ながら、遺跡には強力な魔物が住み着いているらしいの。だから、協力者を探していたのよ。」
ワイは少し考え込み、そして決意を込めて言った。
「よっしゃ、行こう!ワイの毛むくじゃらパワーでなんとかしたる!」
村人たちはワイの言葉に鼓舞され、次なる冒険の準備を始めた。
次の更新予定
毛むくじゃらのワイ、森の妖精だと勘違いされる @BloodyBible
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