第14話のらねこ お岩、空をとぶ
🪧
次の日、のらねこ お岩の立て
その となりで〝お岩に〟は
のらねこ お岩が通るのを待っていた。
でも、来なかった。
〝お岩に〟が のらねこ お岩を待っているうちの1日に、雨の日があった。立て
のらねこ お岩が じぶんでじぶんを描いた絵は、雨で汚れて、まるで絵の のらねこ お岩が泣いているように見えた。
きっと 今頃ほんものの のらねこ お岩も泣いている。
ひとにはひと前で見せない なみだがある、
そういう なみだが のらねこにもある。
のらねこ お岩がいるだけで面白かったのに
また つまらない日々に逆戻りだよ‥、と、
〝お岩に〟が つぶやきかけた頃、帰ってきた。
あの のらねこ お岩が! でも ようすが変だ、高台の森に足をかけ今にも踏み外しそう。のらねこ お岩が、空をとぶー。
わっ!どしん!
空をとぶ練習をしているようだ、
のらねこ お岩は ぼろぼろになっていた。
そんな のらねこ お岩に、〝お岩に〟は、
買い物をしたら もらえそうな白い袋を
手渡した。「これを使ってごらん。」
のらねこ お岩は風船配りの風船をもらうように白い袋を受けとった。そして、
「ほっ。」という かけ声とともに、
白い袋を頭の上にかかげた。
パラシュートみたいになった。
のらねこ お岩が宙を浮いてる。
そうして のらねこ お岩がどこへ行こうとしているのか、〝お岩に〟は気がついた。
きっと、のらねこ お岩は‥。
「お岩。のらねこ お岩!」
のらねこ お岩が前にくしゃくしゃにまるめた日記帳の残りページの紙玉みたいに、
〝お岩に〟の顔が、一瞬、くしゃっ、と、ゆがみ、かなしそうになった。
〝お岩に〟は声を上げるけど、天にのぼる のらねこ お岩には届かなくなっている。
そんな時、〝お岩に〟はどうする?
〝お岩に〟は走った、空もとべない、
言葉も届かない、
空の上の のらねこ お岩には追いつけそうにもないけど、
のらねこ お岩の目のはしに映り続けるように〝お岩に〟は走った、白いぼうしを揺らして走った、その時は言葉にならなかったけど、のらねこ お岩が弱気になった〝お岩に〟に向けて
心の中であきらめないためのエールを送ったことがある、それが、今、言葉を超えて
〝お岩に〟に届いたように、
〝お岩に〟は あきらめずに ずっと走っている。でも疲れてきたのだろう、
白いぼうしが動かなくなる、小さくなっていく。
のらねこ お岩は つぶやく。
さよなら、〝お岩に〟。
のらねこ お岩が、ばいばいと手を振ろうとした、その時ー
ばいばいしようと袋の取っ手から片手を離した拍子にバランスがくずれた、
ツイストする間もなく
のらねこ お岩はまっさかさまに落ちていく、だから のらねこ お岩は でたらめに猫かきをする、必死に空中で もがいてる。
それでも急降下は止まらない!
このままじゃ思いきり地面に ぶつかる。
のらねこ お岩は こわくて目をつぶろうとした、すると目のはしに黒いなにかが見えた。わあっ、あの時のからすだ!
のらねこ お岩が握っていないほうの取っ手をからすは くちばしでくわえた、
そうして、のらねこ お岩とからす、
それぞれ取っ手を持って、まるで、ふたり協力して空をとんでいる形になった。
しばらくして、草がずっと続く草っぱらの上に すべりこむようにして着地した。
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